コラム一覧

目標管理制度の意義と実践

目標管理をする意義

普段なんとなく毎日の仕事をしていませんか。

日常の業務の追われ、能動的な仕事ができていないのではないでしょうか。

そんな従業員のやる気を引き出し、何をするべきかを明確にするために目標管理をします。

会社と従業員が日常の仕事から成長するためにぜひ取り組みましょう。

実践方法

会社の基本方針を理解する

会社がどの様な価値観で社会とかかわっているのかを社員全員で理解、共有します。

サービス、顧客、従業員などとの会社のあり方(あろうとしている姿)を従業員が理解していることから始まります。

会社の方針を理解して初めて従業員がどの方角を目指すかが決定できるのです。

ビジョンを設定する

1年後、3年後などの会社の将来を設定します。

現在と比べて売上○%アップなど数字で定量的に確認できるようにします。

個人の目標を設定する。

ビジョンを達成するために従業員個人としてやるべきことを目標とします。

個人の関心に基づいた目標設定ではなく、会社の基本方針やビジョンに沿った目標を設定します。

これも数字で定量的に確認できるようにします。

目標管理をどの様に活かすか

目標管理は目標を作成して終わりではありません。

3か月や半年ごとに振り返り、目標に対してどの程度達成できたかを会社と従業員とで確認します。

そして、その結果と今後の目標を確認します。

会社と従業員とが戦略的にコミュニケーションを図るためのツールとして使用します。

また、目標に対して従業員がどの程度取組をしたかの目安として使用することも必要です。

昇格(降格)、昇給(降給)、賞与の額などに反映し、従業員のやる気を引き出すツールとしましょう。

2023年05月18日

この時間、労働時間に入りますか?

労働時間とは

労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます。

労働基準法上の労働時間に該当するかはこの指揮命令下に置かれているかで判断され、労働契約や就業規則等での取り決めで決定されるものではありません。

この労働時間の算定はひいては時間外労働の算定の基となり、残業代未払いの問題などにつながってきます。

本来の労働以外の時間

仕事をしている時間は労働時間として、準備や手待ち時間はどうでしょうか。

通達や裁判から労働時間として算入が必要かが判断されていますので主な事例を挙げます。

始業前、就業後の準備、片付け

準備、片付けも本来の業務に関係のある作業の場合は労働時間となります。

使用者の命令がなくとも通常必要とされる場合は労働時間とみなします。

着替え

使用者から作業着に着替えることを命じられている場合は着替えの時間も労働時間となります。

会社の制服などを指定している場合、始業前に着替え、終業後にまた着替えるように定めていることも多いようですが労働時間に該当するので注意が必要です。

手待ち時間

業務はしていないが、必要があればすぐに業務にとりかかれるように待機している時間です。

自由に使える時間ではないため、労働時間に該当します。

懇親会

会社で参加が強制されている場合は労働時間となります。

自由参加の場合は労働時間とはなりませんが、参加しないことで不利益となることが明示・黙示されている場合は労働時間となります。

2023年05月15日

週44時間働いても違法でない労働者

労働基準法には以下の条文があります。

第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。

週40時間までしか労働させてはならないという趣旨の条文です。

しかし、週44時間まで労働させることのできる労働者がいます。

どの様な条件で可能なのかを確認しましょう。

週44時間まで法定労働時間内の条件

①常時10人未満の労働者を使用していること

②特例事業であること

の2点です。

①は事業場単位ですので、企業全体での合計人数ではなく、1つの仕事場での人数となります。

労働者は正社員やパートなどの区別はありません。週1日勤務でも1人に数えます。

②は労基法別表第1第8号(商店・理容)、第10号(映画製作・興行)、13号(保健衛生)、14号(旅館・娯楽接客業)の事業のどれかである必要があります。

週44時間を導入する場合の注意点

週の労働時間は44時間でも、1日の労働時間は8時間が上限であることは変わりありません。

1か月単位の変形労働時間制を採用するなどして1日の労働時間が8時間を超えても違法にならないようにしましょう。

また、就業規則や雇用契約の改訂も必要です。

週の労働時間が40時間から改訂されていない場合は残業となりますのでご注意ください。

2023年05月02日

業務改善助成金の概要と流れ

職場内の最低賃金を引上げ、生産性向上に資する設備等を導入すると申請できる助成金です。

助成金額が最大600万円と魅力的な助成金ですが、助成金の取組の順序を間違うと不支給となってしまいます。

そこで、助成金の概要や順序とポイントを確認していきます。

業務改善助成金の概要

職場内の最低賃金を時給にして30円以上引上げ、生産性の上がる設備等を購入した場合、その設備等の購入費の一部を助成されます。

事業場内最低賃金の額に応じて助成率が変化します。

事業場内最低賃金が870円未満の場合は助成率が90%

870円以上920円未満の場合は助成率が80%(生産性要件を満たした場合は90%)

920円以上の場合は助成率が75%(生産性要件を満たした場合は80%)

となります。

また、最低賃金の引き上げ額と引き上げる労働者の人数に応じて30万円~600万円の助成上限額となります。

他には

・職場内最低賃金と地域別最低賃金の差が30円以内であること

・中小企業事業者であること

・一定期間解雇(退職勧奨も含む)がないこと

などが条件です。

業務改善助成金の流れ

①設備等の見積もりを2社以上からとる

2社から見積もりをとり、安い方の金額を基準に助成されます。

②助成金交付申請書を提出する

事業改善計画と賃金引上計画を記載した交付申請書を労働局に提出します。

対象労働者の人数や賃金をいくら引き上げるのか、またどの設備を購入し、どの様な生産性向上の効果があるのかなどを事前に報告します。

報告書提出以前にした設備の購入や賃金の引上げなどは助成の対象とはなりません。

③事業の実施

②で提出した業務改善計画に基づき賃金引上げや設備投資を行います。

設備投資等の購入は②の承認以降でないと助成金不支給となります。

賃金引上げは②の提出以降なら不支給とはなりませんが、助成金の万全を期すなら承認後をめどに行うのが良いでしょう。

おおむね②提出から1か月後くらいに承認となりますのでそれ以降の賃金引上げを計画するのがオススメです。

④事業実績報告書及び支給申請書を提出する

事業改善計画の実施結果と賃金引上げ状況を記載した事業実績報告書や支給申請書を都道府県労働局に提出します。

⑤助成金の支払い

④の書類をもとに支給の可否や支給額が決定され、助成金が支払われます。

⑥状況報告の提出

助成金支給後に状況報告をします。

賃金を引き上げてから6か月経過までに解雇、賃金引下げなどを行っていないか確認します。

 

以上となります。

助成金支給後の⑥は忘れがちなので注意してください。

生産性向上に資する設備投資等は機械の購入やレジのPOSシステムの導入などが認められています。

自動車は基本的には認められませんが、乗車定員7人以上のものや200万円以下の乗用自動車などはコロナ禍の影響を特に受けた事業者などは認められます。

2023年04月28日

今年度目玉の助成金!?産業雇用安定助成金

産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)

産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)をご紹介します。

なんと助成金額は280万円/人(中小企業以外は200万円/人)

1事業主あたり5人まで申請できるので総額1400万円となり、非常に強力な助成金となります。

助成金の支給要件

・第10回事業再構築補助金を申請し、交付決定を受けていること

・雇用保険の被保険者として雇い入れること

・期間の定めのない労働契約で雇い入れていること

・事業再構築補助金の補助事業実施期間中に雇い入れていること

1.下記のいずれかの職に就く労働者を新たに雇い入れること

①専門的な知識が必要となる企画、立案などの業務に従事する者

②部下の指揮監督に従事するもので係長相当職以上の者

2.年間350万円以上の賃金が支払われる者

 

以上が支給要件の概要となります。

なんとも狭き門ですが、対象となる企業は労働者の年間給料の多くを助成金でまかなえますので事業再構築補助金が通った企業は検討してみる価値はあるのではないでしょうか。

2023年04月10日

従業員数が少ない会社にオススメの助成金

助成金は労働者の採用・能力の開発を目的としているので従業員1名の企業などは対象とならないと思っていませんか。

そんな小企業だからこそ取組みやすい助成金を紹介します。

キャリアアップ助成金(賞与・退職金制度導入コース)

就業規則に賞与・退職金の制度を新たに盛り込み、すべての有期雇用労働者等に賞与の支給または退職金の積み立てをすることで申請できる助成金です。

助成金額は40万円(中小企業以外は30万円)、賞与と退職金の制度両方を導入した場合は56万8千円(同42万6千円)です。

1事業所あたり1回のみです。

賞与の金額は5万円以上ですので、有期雇用労働者の人数が少ないほど取組みやすい助成金と言えるでしょう。

助成金の流れは

キャリアアップ計画書の作成・提出

就業規則に賞与・退職金の制度を記載

賞与の支払い・退職金の積み立て

助成金申請

となります。

2023年04月06日

育児休業と社会保険料免除

社会保険料免除の要件

産後パパ育休制度のスタートと合わせて、社会保険料が免除になる要件も見直されています。

育児休業を取得する従業員の社会保険料が免除になる場合は以下の通りです。

・その月の末日が育児休業期間中の場合

・同一月内に14日以上の育児休業を取得している場合

・賞与にかかる社会保険料は1か月を超える育児休業を取得した場合

3月でしたら31日が育児休業中であれば社会保険料免除というわけです。

また、3月1日~14日まで育児休業となれば同一月内に14日以上に当てはまりますので月末でなくとも社会保険料免除となります。

社会保険料の免除を目的として月末1日のみを育休とするのは好ましくないですが、労働者から育休を目的とした休業という場合は拒否することはできません。

2023年03月27日

副業、兼業の残業代

副業、兼業を認める企業が増えており、実際に副業をする従業員、副業先の企業も増えてきています。

自社の社員が副業する場合、残業代はどの様になるのか確認していきましょう。

事業場が違っても労働時間は通算する

労働基準法第38条に「事業場を異にする場合、労働時間の適用に関する規程の運用については通算する」とあります。

仕事場が違っても労働時間は通算され、1日8時間、週40時間を超えて労働した場合は割増賃金を加算して支払わなければならないということです。

この規程は違う会社でも通算されるため、1つ目の会社で8時間労働した場合は2つ目の会社はすべての労働時間に割増賃金を加算しての賃金を支払うことになります。

残業代の支払いは後に労働契約した会社

この1つ目、2つ目の会社とは1日の労働の順番ではありません。

当該労働者と労働契約をした順番の前後が1つ目の企業は自社での労働時間が8時間を超えた場合に残業代を支払います。

しかし、2番目に労働契約をした会社は1つ目に会社での労働時間を労働者から確認し、割増賃金を払う必要があります。

面接時には必ず他の労働契約があるかの確認を

労働者の労働時間の把握の必要があるため必ず他の労働契約があるかを確認しましょう。

できれば書面で確認し、その証拠を保存しておくことをおすすめします。

2023年03月13日

令和5年度の特定求職者雇用開発助成金の変更点

安定した職に就きづらい方を雇用した場合に申請できる特定求職者雇用開発助成金の令和5年度からの変更点について紹介します。

成長分野等人材確保・育成コース

変更点1:対象分野

・見直し前

成長分野(デジタル・グリーン)の業務の従事する方

→生産工程、販売、運送の業務も含めて対象

・見直し後

成長分野(デジタル・グリーン)の業務の従事する方

→専門的職業に従事する方を対象(例:プログラマー、エンジニア)

変更点2:対象労働者

・見直し前

経験者も対象

・見直し後

未経験者のみ対象

※経験1年未満の職種も未経験職種として取り扱う。

生涯現役コース(65歳以上)

廃止

特定就職困難者コースに吸収されました。

このため65歳以上の雇用の場合の要件や助成金額が特定就職困難者コースのものと同等となります。

特定就職困難者コース

生涯現役コースを吸収。

65歳以上も対象となります。

被災者雇用開発コース

廃止

就職氷河期世代安定雇用実現コース

変更点:労働者

・見直し前

過去5年間に正規雇用労働者として雇用された期間を通算した期間が1年以下であり、かつ過去1年間位正規雇用労働者としてこようされたことがない方

・見直し後

過去5年間に正規雇用労働者として雇用された期間を通算した期間が1年以下であり、かつ過去1年間位正規雇用労働者としてこようされたことがない方

ただし妊娠、出産または育児を理由として正規雇用の職を離職していないこと

 

変更については令和5年4月1日以降に採用する方について新たな要件が適用されます。

2023年03月01日

今後予定されている労務関係の法改正

2023年度改正

月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率の引上げ(4月)

出産育児一時金を50万円に増額(4月)

給与デジタル払いの解禁(4月)

大企業(常時1000人超)の育児休業取得状況の把握(未定)

2024年度法改正

建設業、良し、自動車運転者の業務の労働時間の上限規制の適用(4月)

短時間労働者の社会保険の適用拡大(51人以上)(10月)

2025年度法改正

高年齢雇用継続給付の引き下げ(4月)

2023年02月20日

無期転換ルールについて

無期転換ルール

無期転換ルールとは、同一の企業に有期雇用契約が5年を超えて更新された場合、労働者からの申し込みにより、期間の定めのない無期雇用に転換されるルールです。

企業は断ることができず、無期雇用契約が成立します。

通常5年ですが、大学教や研究開発法人の研究者などの高度な専門性を必要とする労働者は無期転換のルールが10年とされています。

無期転換を認めた大阪高裁の判決

羽衣国際大学の専任教員を務めていた労働者が、無期転換申込後の雇止めを不服として訴えた裁判で、大阪高等裁判所(冨田一彦裁判長)は雇止めを有効とした一審判決を変更し、労働者の無期転換を認めた。

労働者は3年の有期労働契約を2回締結し、無期転換申込権を行使したが、同大学は大学教員任期法が定める先進的な教育研究をする教育研究職に該当し、10年特例が適用されるとして、期間満了後に雇止めとしていた。

同高裁は労働者の担当授業の大半は介護福祉士の国家試験対策だったと指摘。研究の側面は乏しく、特例の対象にならないとした。

(ニュース提供元:労働新聞社)

名称ではなく、実態を重視する

上記判決は大学教員でありながら5年で無期転換を申し込めるという判決です。

名称は大学教員でも、実態は試験対策教員で研究に重点をおいていないということで無期転換ルールの特例の10年ではなく、原則の5年の雇用期間での無期転換を認めたということになります。

 

平成25年に無期転換ルールが制定されて10年に迫る今、自社の雇用契約を見直しリスクを回避しましょう。

2023年02月13日

雇用保険料率の変更

現在の雇用保険料率

雇用保険料は事業主と従業員がそれぞれ負担することとなっています。

雇用保険料には失業等給付、育児休業給付、雇用保険二事業の3種類あります。

負担割合はそれぞれに決まっていて

失業等給付0.6%・・・0.3%(事業主)+0.3%(労働者)

育児休業給付0.4%・・・0.2%(事業主)+0.2%(労働者)

雇用保険二事業0.35%・・・0.35%(事業主のみ)

の合計1.35%となっています。

2023年4月以降の保険料

2023年4月以降は失業等給付が0.8%に引き上げられることが決定しました。

失業等給付0。8%・・・0.4%(事業主)+0.4%(労働者)

事業主と労働者がそれぞれ0.1%ずつ引き上げられます。

育児休業給付と雇用保険二事業はこれまでと変わりません。

結果4月からは合計1.35%から1.55%となります。

引き上げの理由

まず雇用調整助成金で莫大な金額を支出したことによります。

コロナ禍での雇用調整助成金は6兆円を超える額が支出されました。

雇用調整助成金を受給しなかった企業はなんの得もなくにその負担を受けることになります。

また、労働者の失業による失業等給付も増加しました。

その結果失業等給付の引き上げにつながりました。

2023年02月06日

月60時間を超える時間外労働の割増賃金

令和5年4月から割増賃金が50%に

月60時間を超える時間外労働の割増賃金が50%となります。

大企業はすでに50%ですが、令和5年4月1日より中小企業も対象となります。

これにより割増賃金が

月60時間未満・・・25%

月60時間超・・・50%

となります。

深夜の労働がある場合は注意が必要

深夜(22時~5時)の間に労働がある場合は25%の割増賃金が必要です。

これは時間外労働とは別で支払わなければならないため、時間外労働での深夜労働の場合には時間外労働25%+深夜労働25%の割増賃金を支払わなければなりません。

当然、時間外労働が月60時間を超えた場合は50%+25%で75%もの割増賃金となります。

時給1000円の労働者でしたら1750円です。

代替休暇に代えることができます

月60時間を超える法廷時間外労働を行った労働者の健康を確保するため引き上げ分の割増賃金の支払の代わりに有給の休暇(代替休暇)を付与することができます。

この割増は60時間を超えた部分の今回の割増賃金引上げ分(25%)についてです。

代替休暇の時間数は

(1か月の時間外労働時間数ー60時間)×25%

です。

例えば月76時間の時間外労働となった労働者の場合は

(76ー60)×25%=4時間

となり、代替休暇は4時間必要ということです。

代替休暇は1日または半日の単位で、時間外労働が月60時間を超えた翌日から2か月以内に与える必要があります。

代替休暇を取得するかどうか労働者の意向確認の手続、取得日の決定方法などを労使協定で定めておく必要があり、就業規則にも記載する必要があります。

2023年02月02日

労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)

概要

再就職援助計画対象者を早期に期間の定めのない労働者として雇用した場合に助成金が申請できます。

再就職援助計画とは、事業規模の縮小などによって相当数の労働者が離職を余儀なくされる場合に事業主が再就職援助計画を作成し、ハローワークの認定を受ける必要があります。

再就職援助計画対象者は再就職援助計画の対象となった離職者で証明書をもらいます。

対象者を離職日の翌日から3か月以内に期間の定めのない労働者として雇用し、雇用保険に加入させている場合に助成金対象となります。

条件によって加算の多い助成金額

助成金額は通常30万円となります。

特例対象者として証明書に記載された方を雇用した場合は40万円となります。

新型コロナウイルス感染症の影響により離職した異業種の45歳以上の方を雇い入れた場合は40万円が加算されます。

前職に比べ、賃金上昇(雇い入れ前賃金比5%以上)をした場合は20万円が加算されます。

厚生労働省労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)

2023年01月26日

障害者雇用率の引き上げ

令和5年度から障害者雇用率が2.7%に

現状2.3%の障害者雇用率が令和5年度から2.7%に引き上げられます。

ただし雇い入れに係る計画的な対応が可能となるように、令和6年4月に2.5%、令和8年7月に2.7%と段階的に引き上げられます。

事業者向けの支援

令和6年4月から雇い入れに必要な雇用管理に対する相談援助の助成金が創設される予定です。

特に短い労働時間(週10~20時間)で働く重度の身体障害者・知的障害者や精神障害者の実雇用率への算定が可能となる予定です。

現状の障害者雇用に関する助成金

現状でも障害者雇用に関する助成金はいくつかあります。

・特定求職者雇用開発助成金

ハローワークなどを介して障害者を長期雇用すると申請できます。

労働時間や労働者の障害の程度によって助成金額は異なります。

例としては重度障害者を週30時間以上の労働時間で雇用すると合計240万円の助成金となります。

・キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)

障害者を正社員化などの雇用の安定化を図ると申請できます。

これも障害の程度や転換措置に応じて金額は異なります。

一番金額の大きいものだと重度身体障害者等を有期雇用から正社員に転換した場合、合計120万円の助成金となります。

2023年01月23日

妊娠、出産に関する労働保険、社会保険の制度

妊娠、出産に関する制度は労働保険、社会保険にまたがっていて非常に難解です。

法律を一度確認しましょう。

育児休業給付金

雇用保険の育児休業給付は雇用保険の一般被保険者等が産後子どもが1歳(一定の場合は1歳半、2歳)になるまでその子どもを養育するために育児休業を取得した場合に支給されます。

出産後8週間は産後休業期間とされ、その間は支給されないために産後8週後~1歳になる前日までの支給となります。

支給額はだいたい給料の50%です。

しかし支給開始から半年は67%となります。

育休中も賃金を出してくれる企業の場合は育児休業給付金がもらえない場合があります。

育休中の賃金が13%以下の場合は育児休業給付金は全額支給となります。

13%~80%未満の場合は賃金+育児休業給付金の合計が80%となる分までを支給されます。

賃金の80%以上の場合は支給されません。

ですので、育休期間中に労働する場合は注意しましょう。

育休中に労働する場合、支給単位期間(30日間)に10日以下、または80時間以下であれば育児休業給付金は支給されますが、たくさん働いて賃金を多くもらう状況ですと育児休業給付金が給料と合わせて80%になるまで減額されます。

出産手当金

育児休業給付金で支給されない産後8週はこちらでカバーされます。

健康保険の出産手当金ですが、出産の日以前6週間と出産後8週間の仕事をしなかった期間に支給されます。

出産日が予定日から遅れた場合はその分も支給されます。

こちらもだいたい給料の67%です。

出産育児一時金

これも健康保険の制度です。

妊娠85日以上の出産の場合に一時金として支給されます。

金額は42万円です。

だいたいが病院が代わりに受け取る直接支払制度を利用するために被保険者が受け取ることは少ないですが、窓口負担金額を減らしてくれるものです。

支給申請も病院がやるため出産時の代理契約で登場するぐらいでしょうか。

厚生年金の保険料免除

産前産後休業や3歳未満の育児休業期間中は厚生年金保険の保険料は免除されます。

この期間中は保険料を免除されても年金の支給額は減額されず、保険料を支払ったものとして年金の計算がなされます。

 

2023年01月19日

新たな事業、DXのための訓練の助成金

人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)

2022年12月に開始した助成金です。

人材開発支援助成金とは教育訓練を受講させるなど労働者の職業能力を向上させる目的で企業が経費を支払った場合に申請できる助成金です。

これ自体は以前からありましたが、この度新規事業の立ち上げなどの事業展開に伴い労働者を新たな分野で必要となる知識や技能を習得させるために訓練をした場合にその訓練経費や訓練中の賃金を助成する目的で新たに作られました。

事業展開等リスキリング支援コースの概要

新規事業展開の際に必要になる知識や技能を習得するために雇用する労働者(雇用保険に加入している人)を合計で10時間以上雇用することで申請できる助成金です。

助成金額は経費が75%(中小企業以外は60%)、賃金助成は1人1時間あたり960円(同480円)となります。

経費助成は上限があり、10~100時間未満は30万円(同20万円)、100~200時間未満は40万円(同25万円)、200時間以上は50万円(同30万円)となります。

流れは

①職業能力開発推進者の選出と士事業内職業能力開発計画の作成

②上記計画の提出(訓練開始日から1か月以上前に)

③認定を受ける

④計画の通りに訓練を実施

⑤支給申請(訓練終了日の翌日から2か月以内)

となります。

主な注目点

・単に製品、商品やサービスの製造方法や提供方法を変更する場合も事業展開にあたります。

・DX(デジタルトランスフォーメーション)化やカーボンニュートラル化のための訓練でも対象となります。

・定額制サービス(サブスクリプション)研修でも助成金の対象となります。

2023年01月16日

不正受給の末路

助成金を不正受給をした場合

助成金を不正受給した場合、助成金申請が5年間できなくなります。

不正受給した助成金と延滞金、返還金を請求されます。

また社名、代表者名を公表されてしまいます。

特に悪質な場合は詐欺罪で告発されて1年6か月の懲役を判決されたケースもあります。

社会保険労務士が指南して不正受給した場合

今年1月に社会保険労務士が雇用調整助成金の不正受給をして逮捕されたニュースがありました。

不正受給を指南した社会保険労務士の逮捕はもちろん、企業の代表も逮捕されました。

合計約3000万円の不正と記事にはありますが、企業も連帯して返還する必要があります。

社労士が申請したといっても自分の企業です。

社長が責任を取らなければなりません。

労働局の調査の内情

上記の社会保険労務士は実は私がハローワークにいたおととしから要注意人物として連絡がきていました。

なぜ逮捕が遅れたかというと、1つには不正調査の人手が足りないというところがあります。

雇用調整助成金の量がコロナ特例で膨大なものとなっていました。

申請の数が通常と比べて多すぎるために確認が遅れたことがあります。

次に考えられるのが迅速な助成金の支給です。

迅速に助成金を給付し、企業を救済することが第一であったために不正などの確認を十分にできずに助成金を支給しました。

これは助成金を迅速に支給するとときの総理大臣が発言したために現場が振り回されたという側面があります。

そのため、助成金が落ち着いてきた今ようやく不正受給の捜査に手が回るようになってきたのが実情です。

もう一つあるのが慎重に事実確認をする必要があるという理由です。

なんとなく怪しいという理由で会社に押し入るわけにはいきません。

従業員からのタレコミの場合には、どこに出勤簿があるか、どの日について不正、改ざんがあるかなどの裏をとり、

実際の実地調査ではその確認をするだけにするほど脇を固めてから立ち入りするのです。

当然摘発には時間がかかります。

今後、ほかの要注意社労士や企業も摘発されていくものと予想されます。

同じ社労士として情けないですが、企業も付き合う社労士を選ばなければなりません。

2023年01月12日

テレワークで社員が働く仕組みづくり

タスクを見える化する

仕事をサボってしまう最大の理由はその日の仕事が見える化していないからです。

何をすれば仕事なのかを数字など具体的なもので見えないから日々の仕事が上司、従業員ともに仕事の管理ができなくなってしまいます。

そのため、日々の仕事を事前に上司から部下に割り振る必要があります。

だいたいこの仕事を任せている程度の決め方ではなく、数字でわかるようにし、進捗状況がいつでも確認できるようにすることが望ましいです。

1日の仕事を理解することで仕事のサボりを防止します。

評価制度をテレワーク対応にする

テレワークを導入したのに評価制度は以前のままでは職場環境の変化に対応できていません。

テレワークにより仕事の内容ややり方が変わっているので評価制度もテレワークに合わせたものにしましょう。

社員の仕事の態度が見えなくなっているので、仕事の成果がメインの評価になると思います。

仕事している人が不公平感を感じない制度を構築しましょう。

コミュニケーションを取る

日々の仕事の成果を部署内で共有できる場を設けましょう。

同僚がなにをして、どの様な成果を出しているかを知ることは社員のモチベーション向上につながります。

会社に集まることができないならZOOMなどを活用してもいいです。

 

ほったらかしの状態からいざ確認してみると従業員が仕事をしていなかったという状況を聞くことがあります。

これは従業員だけのせいではありません。

企業がテレワークにあった制度を構築せず、従業員のフォローを怠った結果です。

企業全体が機能不全となる前にテレワークにあった制度をつくり、業務フローを見直しましょう。

2023年01月05日

パワハラ社員に対する会社が取りうる対策

パワーハラスメントの定義とは?

パワハラパラハラとよく言葉が飛び交うようになっていますね。

少しでも社員の機嫌を損ねようものならパワハラと言われ通常の仕事の指導もしにくくなったと悩んでいる企業の話もよく聞きます。

しかし当然ですがすべての指導がパワハラとなるわけではありません。

厚生労働省の定義では以下のようになっています。

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。

とのことです。

わかりやすいように類型化すると

①身体的攻撃

②精神的な攻撃

③人間関係の引き離し

④過大要求

⑤個の侵害(監視・盗撮)

などが該当します。

実際にあった事例

(ケース1)

配属1か月で上司に「なんであんなのが来た」と言われ、社員旅行時には同一上司に刃物を見せられ「今日こそ刺してやる」と言われた。

被害者は結果として自殺した。

→裁判では上司によるパワハラが原因とされ、約1100万円の損害賠償となった。

(ケース2)

勤続33年の社員がリストラに反対。

その結果、かつて同僚であった社員の部下に降格。

さらに通常は契約社員が担当する業務に配置転換。

→パワハラと配置転換裁量権逸脱とされ、慰謝料100万円となった。

企業の取るべき対策

パワーハラスメントをする社員がいたとして、その社員の個人の責任に終わるものではなく、企業も放置した責任を問われます。

法律でもこの令和4年4月から「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」というものが施行されて、企業が必要な措置を講じることを義務としています。

企業の監督責任を問われないためにも日頃からきちんと対策を取りましょう。

①社長からのメッセージ

②就業規則などにルール化

③相談体制の整備(専門部署の設置、社外相談窓口など)

④従業員への定期アンケートの実施(実態把握)

⑤パワハラ研修

などです。

以上のことを行い、それを記録化しておきましょう。

労働関連の法令などから残念ながら企業は労働者との裁判となった場合、非常に立場が弱いです。

日頃から予防すること、その予防を記録などをして客観的に確認できるようにすることが企業を守るための方策です。

2022年12月22日

人材ポートフォリオとは?適材適所を徹底的にしましょう

人材ポートフォリオとは

人材ポートフォリオとは企業の事業活動に必要な人材がどのように構成されるかを分析したものです。

つまり、適材適所を徹底するための手法となります。

企業の事業内容や文化などを鑑みて

社内のどこに(部門、役職など)

どのような人材が(職種、スキル、性格など)

どのくらい(人数)

存在していれば効果的かを考えたものが人材ポートフォリオの考え方です。

これをやることによって社員教育や採用計画の方向性が定まり、人事の戦略性が高まります。

使える人材がいないと嘆いている企業は実践してみてもいいかもしれません。

人材ポートフォリオの手順

①自社に必要な人材をタイプごとに分類する

企業が生産性を高めるために効果的な分類をしましょう。

これは一例ですので企業にあった分類をしてください。

②社内の人材をそれぞれのタイプに当てはめる

今いる人材を各タイプに当てはめ現状を確認しましょう。

この従業員はこのタイプだろうという主観ではなく、過去の実績や適性検査などの客観的なデータから分類しましょう。

③企業の人材の過不足を確認する

企業の本来ありべきポートフォリオの構成比と、それに対するこのタイプが多すぎる(少なすぎる)といった理想と現実のギャップを認識しましょう。

④理想の人材構成にするために対応する

必要人材の過不足をなくすために企業が対応します。

・採用

・解雇、退職勧奨

・人材育成

・配置転換

などが考えられます。

適材適所でない人材を減らすイメージで人事施策をすると良いでしょう。

人材ポートフォリオを実践して見えてくるもの

人材ポートフォリオをすると企業の現状と理想、理想を実現するために取るべき人事施策が見えてきます。

特に採用の段階でどの様な人材が必要かが明確になり、採用戦略の方向性が確定します。

人事の課題は一朝一夕に解決しないからこそ普段から戦略的な施策を心がけましょう。

2022年12月19日

労働時間制度の原則と例外

労働時間制度の原則

労働時間は1日、または1週間について決まっています。

労働基準法32条には以下のように定められています。

 

使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。

2 使用者は一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

 

法定労働時間は1日8時間以内、週40時間以内ということです。

では上記の時間を超える残業などは違法なのでしょうか?

もちろん、決まり事を守れば違法ではありません。

残業を適法なものとするためには

上記時間を超える労働をするためには残業の規定を制定し、三六協定の締結と届出、残業代の支払いをすることで適法なものとなります。

三六協定とは労働基準法36条に規定される協定で、原則では違法な残業について罰則とならないようにします(免罰効果)

この協定を労働者の代表と締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。

ただし協定を締結しても無制限に残業をさせることはできません。

月45時間、年間360時間が上限となります。

特別条項付きの協定の場合でも月100時間未満、年間720時間以内という規制があります。

なお、違反した場合は罰則もあります。

上に免罰効果と書きましたが、三六協定だけではダメです。

会社の就業規則に残業について規定しなければなりません。

また個別の雇用契約でも残業があることを明示する必要があります。

残業によらない労働時間をコントロールする方法

変形労働時間制というものがあります。

季節によって仕事量が違う場合など、活用すると残業代を圧縮することができるかもしれません。

・1か月単位の変形労働時間制

1か月を平均して、法定労働時間の範囲内であれば1日8時間、週40時間を超えて労働させることができます。

・1年単位の変形労働時間制

1年を平均して、法定労働時間の範囲内であれば1日8時間、週40時間を超えて労働させることができます。

ほかにもありますが、上記の制度が残業に直結して活用しやすいでしょう。

2022年12月15日

不妊治療の助成金

両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)

不妊治療と仕事との両立のために企業が環境を整備し、実際に休暇を取得させた場合に申請できる助成金です。

中小企業主のみが対象となります。

支給額は28.5万円(生産性要件を満たした場合は36万円)、長期休暇させた場合は28.5万円(同36万円)加算されます。

本助成金の要件

(1)不妊治療のための休暇制度・両立支援制度を利用しやすい環境整備をし、不妊治療両立支援プランを策定する

(2)不妊治療を行っている労働者にプランに基づき1年度以内に合計して5日(回)以上利用させる

(3)制度利用者を利用開始日から申請日において雇用保険被保険者として継続雇用する

となります。

長期休暇の加算は不妊治療のための休暇を20日以上連続して取得させ、復帰後は元の仕事に3か月以上継続勤務させる必要があります。

本助成金の注意点

休暇は年次有給休暇とは別の休暇である必要があります。

制度については就業規則等に規定し、周知させる必要があります。

従業員が不妊治療で休みやすい社内環境を作り、助成金を受給しましょう。

2022年12月12日

キャリアアップ助成金(賃金規定改定コース)の変更点

キャリアアップ助成金(賃金規定改定コース)の概要

有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を増額改定し、実際に賃金を引き上げた場合に助成されるものです。

3か月以上雇用し、賃金を2%以上引上げたのちに6か月以上雇用することで受給できます。

引上げた賃金の割合や人数で助成金額が変わりますが、

2%以上3%未満・・・32,000円/人(6人以上は28,500円)

3%以上5%未満・・・46,250円/人(同42,750円)

5%以上・・・55,750円(52,250円)

となります。

中小企業以外の企業は一律で2%以上21,000円/人(6人以上は19,000円)となっています。

申請は1年度で1回のみとなっています。

賃金引上げをした対象者は雇用保険被保険者である必要があります。

賃金規定改定コースの変更点

まず賃金上昇率が変更になりました。

3%以上5%未満・・・50,000円/人

5%以上・・・65,000円/人

中小企業以外は

3%以上5%未満・・・33,000円/人

5%以上・・・43,000円/人

と助成額が増額されています。

特に大企業の助成額は倍増と言ってもいいのではないでしょうか。

また、同一年度内で複数回の申請が可能となりました。

年間100人まで何回でも申請が可能です。

また、生産性要件の増額がなくなりました。

2023年3月までは新旧制度のどちらも使える

9月1日からある改正後の制度は

3%未満の賃金上昇は助成金がなくなりました。

しかし、2023年3月までは変更前の制度も変更前の制度も残るために2%の賃金上昇でも申請が可能です。

2022年12月08日

教育訓練で助成金?人材開発支援助成金

社員教育のために教育訓練をしていませんか?

その教育訓練に助成金が活用できるかもしれません。

教育訓練の費用に定率の助成金、勤務時間中の教育訓練ならその時給も助成金が受けられる可能性があります。

通常の教育訓練はもちろん、新入社員の入社研修などにも使える可能性があります。

人材開発支援助成金(特定訓練コース)

OJTとOFF-JTを組み合わせた訓練、若年者に対する訓練など訓練効果の高い10時間以上の訓練について助成するものです。

教育訓練の1時間当たりの賃金助成が760円(中小企業以外の場合は380円)、教育訓練の経費の助成は45%(同30%)となっています。

助成金取組の流れは

(1)事業内職業訓練能力開発計画の作成と訓練実施計画届の作成・提出

訓練開始1か月前までに労働局に計画書を提出します。

訓練に必要な研修の見積もりなども提出しますので早めに対応する必要があります。

(2)訓練を計画通りに実施

日程変更の場合などは必ず事前に変更届を提出する必要があります。

(3)支給申請

となります。

特定訓練コースに該当しない場合は一般訓練コースもあります。

訓練時間が20時間以上であるという要件と助成率は下がりますが、年齢要件などがないので幅広い労働者に活用できます。

令和4年度からの変更

eラーニングでの訓練も助成対象となりました。

去年度までは対面での訓練のみが助成対象でしたが、eラーニングや通信制の訓練も助成金の対象となりました。

これで訓練のための移動や仕事の調整が少なくなり、助成金を活用した訓練がしやすくなりました。

また登記事項証明書が省略となる、など助成金の活用に便利になってきています。

これを機に助成金を活用して教育訓練をしてみましょう。

2022年12月05日

高齢者雇用関係の助成金

現在60歳以上の高齢者を雇用している、または雇用しようと思っている会社は助成金のチャンスかもしれません。

会社が取組みやすい助成金をご紹介しますので、経営の一助としてください。

特定求職者雇用開発助成金

これは障害者や母子、父子家庭などの安定した職に就きづらい人を長期雇用することで得られる助成金です。

60歳以上の高齢者も助成金に該当します。

長期雇用前提ですので、コースにもよりますが60歳の人を雇用するなら2年以上雇用することが確実でないといけません。

雇用契約書に条件がなく、自動更新であることが認められるなら雇用契約期間1年ごとの自動更新という形でも大丈夫ですが、能力や意欲によると記載がある場合は認められません。

求職者の紹介がハローワークや職業紹介事業者などからである必要があります。

知り合いを雇い入れた場合は助成金の対象とはなりません。

助成金額はコースや雇用条件、対象者にもよりますが、60歳の人を週30時間以上での雇用だと1回30万円(大企業は25万円)の合計2回で60万円(大企業は50万円)が支給されます。

細かい要件はたくさんありますが、該当者は労働局から案内の書類が送付されますので取組みやすい助成金だと思います。

65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用推進コース)

定年の廃止、定年の引上げ、継続雇用制度の導入などを行った会社に対する助成金です。

雇用している60歳以上の人の人数や取組みにもよりますが最高160万円が助成される大型助成金です。

定年を引上げなどに加え、高齢者が働きやすい職場環境の形成も必要です。

専門家にそのコンサルティングを受け、費用を支払うことも要件になっています。

労働者不足の今、積極的に活用すべき

労働者不足の今、高齢者は貴重な労働力となりえます。

他社に高齢者を取られないうちに積極的に採用しましょう。

助成金を活用しながら人材不足を解消できるチャンスです。

2022年12月01日

会社の福利厚生

近年はワークライフバランスが重視され、働き方が柔軟になるにつれて労働者が企業に求めるものも変化しています。

変化が激しい社会環境で賃金を青天井で上げるわけにもいかない中、福利厚生は注目を集めている施策の一つです。

法定福利厚生

法定福利厚生とは、法律で義務付けられている福利厚生です。

各制度で条件が異なりますので実施の可否は企業によります。

労災保険・・・業務災害、通勤災害についての保険

雇用保険・・・失業や再就職についての保険です

健康保険・・・業務外の病気やケガについての保険です

厚生年金保険・・・国民年金の上乗せとなる年金保険です

健康診・・・年1回の定期検診などです

などがあります。

法定外福利厚生

企業が独自に導入できる福利厚生です。

企業の特色を出しやすいのがこの法定外の福利厚生です。

大きくは

慶弔関連・・・結婚祝い金や弔慰金など

休暇関連・・・リフレッシュ休暇、年末年始休暇など

医療・健康関連・・・メンタルヘルス相談、人間ドックの補助など

住宅関連・・・社宅、住宅補助など

文化・体育・レクリエーション関連・・・社員旅行、保養施設の補助など

勤務時間関連・・・テレワーク、フレックスタイムの導入、ノー残業デーなど

財産形成関連・・・財形貯蓄制度、従業員持株会など

自己啓発・能力開発関連・・・資格取得の支援、研修制度など

の8つとなります。

その他には食堂の設置や、なども福利厚生としてあります。

福利厚生を導入するメリットとデメリット

メリットとしては、賃金の上昇以外での企業の魅力が出せることです。

テレワークの導入などは通勤費の圧縮にも効果的ですし、労働者も通勤時間がなくなり家で仕事ができることは魅力的です。

完全テレワークの場合は地方の労働者も雇用対象となるために有能な求職者も雇用できるかもしれません。

企業のブランディングから求職者へのアピール、人材確保にもつながり、福利厚生を上手に導入できれば企業の強い味方となります。

デメリットとしては、費用対効果が見えにくいことがあります。

導入から定着し、従業員のモチベーションにどのように作用しているかわかるまでは時間がかかるために短期的には失敗と判断される場合があります。

また、従業員によって不公平感が出る場合があります。

従業員それぞれライフスタイルや好み、家族構成などが異なるために一部の社員のみが利用するような福利厚生となる場合、利用しない従業員には不満となります。

法律に反しない限り自由に福利厚生を導入できるために企業は自社に合った福利厚生を導入し、従業員にとって働きやすい職場を作り強い企業を作りましょう。

2022年11月28日

高年齢者就業確保措置

70歳までの就業機会の確保が目的

これまでの高年齢者雇用確保措置は

65歳までの定年の引上げ、定年の廃止、65歳までの継続雇用制度の導入のいずれかを導入することが義務付けられていました。

これは義務ですので実施しない場合は罰則があり、実際に違反している企業は労働局から是正勧告がなされます。

2021年4月から施行されたものは70歳までの就業機会の確保が目的のものです。

今のところ努力義務となっており、実施しないことでの罰則はありません。

しかし、労働力人口の減少や公的年金の給付年齢の引き上げの検討などの昨今の動向を鑑みると70歳までの雇用確保が義務化される可能性は十分にあります。

高年齢者就業確保措置の内容

①70歳までの定年の引上げ

②定年の廃止

③70歳までの継続雇用制度の導入

④高年齢者が希望するときは70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入

⑤高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に次の事業に従事できる制度の導入

  a. 事業主が自ら実施する社会貢献事業

  b. 事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

のいずれかの措置を講ずる努力義務として規定されました。

④及び⑤の雇用によらない措置(創業支援等措置)のみを高年齢者就業確保措置として講じる場合には、労働基準法等の労働関係法令が適用されないため、その措置に係る事項を記載した計画について労働者の過半数を代表する者等の同意を得て、当該計画を労働者に周知する必要があります。

おすすめは65歳までの定年延長、その後1年単位の有期雇用契約

定年を70歳まで、または廃止とすることも可能ですが労働者の高齢化による労働力の低下を考えると65歳までの義務には応じる一方、70歳までの雇用は現在は努力義務であるために働ける人のみの雇用を継続する有期雇用契約が良いと思います。

定年を延長すると、定年で退職したい労働者がいた場合のセカンドライフが遠のくことにもなりかねません。

また、複数の定年を設けることも案としてありますが、制度が複雑になることで運用が難しくなることもあります。

いずれにしても自社にあった制度を作り、高年齢者も主体的に会社の労働に携わる労働環境を作りましょう。

2022年11月17日

キャリアアップ助成金2022年10月変更点

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金正社員転換コースとは、パート、アルバイトなどの条件で雇用している従業員を正社員に転換することで受給できる助成金です。

中小企業であれば受給額は57万円、大企業であれば42.75万円となります。

概要としてはパート・アルバイトとして6か月以上勤務ののち正社員化、基本給を3%以上あげ6か月以上引き続き雇用したのちに申請となります。

しかし、2022年10月以降の正社員転換の場合、それ以前より条件が追加されています。

助成金申請の可否が表面化するのは申請が始まる2023年4月以降になってくるためまだそれほど問題となっていないようですが、

きちんと対応していない場合、せっかく助成金を取組んだのに不支給となってしまいかねません。

10月以降の変更点をきちんと理解し、助成金受給につなげましょう。

10月からの正社員転換

いままでキャリアアップ助成金を受給していた企業こそ注意が必要です。

以前これで受給できたからといままで通りの方法で申請すると不支給となる場合があります。

10月以降の正社員転換(雇い入れではありません)の場合の変更点は以下の通りです。

・賃金の額または計算方法が正規雇用労働者と異なる就業規則等を有期雇用労働者を6か月以上3年以下の者を転換すること

・正社員は昇給の規定があること

・正社員は退職金またはボーナスの規定があること

となります。

要は正社員とパートアルバイトとはそれぞれ別の規定が必要で、正社員は長期雇用を前提とした雇い方である必要があるわけです。

いままでのように月給3%の差しかない場合は不支給となってしまう可能性があります。

そのほかにも注意点が

上記以外にも注意点があります。

まず、正社員転換ですが労働時間に注意です。

正社員転換した労働者がほかの正社員より労働時間が短い場合は助成金対象とはなりません。

職種によって労働時間が異なる企業は要注意です。

キャリアアップ助成金の計画提出の段階で多様な正社員について記載し、就業規則にも記載することで不支給を回避しましょう。

また、正社員転換の前後6か月の間に解雇がある場合は助成金が受給できません。

もし解雇してしまった場合は正社員転換の時期をずらすなどの対策をしましょう。

 

2022年11月14日

高齢者雇用への対応

高齢者雇用の現状

高齢者雇用安定法が2021年4月に施行されました。

65歳までの雇用確保義務に加えて70歳までの就業機会を確保することの努力義務となりました。

65歳までの雇用確保義務とは①定年制の廃止②定年を65歳以上への引上げ③65歳前の定年の場合は再雇用などの継続雇用制度を導入することとなります。

厚生労働省の令和3年度高年齢者雇用状況等報告書では上記の高齢者雇用確保措置を講じている企業の割合は99.7%とのことです。

その内訳を見ると、

①定年制を廃止した企業は4.0%、②定年の引上げは24.1%、③継続雇用制度の導入は71.9%となっています。

定年や継続雇用制度を変更する場合に考慮すべきこと

定年年齢・・・定年や継続雇用制度を何歳まで引き上げるのか。

どの様に引き上げるか・・・一度に引き上げるのか、段階的に引き上げるのか。

定年は一律か選択制か・・・一律同じ年齢で定年とするのか。定年を選択できるようにするのか。

対象者・・・全社員を対象とするのか。

仕事内容・・・高齢労働者にどの様な仕事を担当してもらうのか。

役割・・・高齢労働者にどの様な役割を期待するのか。

役職・・・役職はどうするのか。

労働時間・・・労働時間はいままで通りか、短縮するのか。

配置・異動・・・転勤の可否なども気を付けましょう。

評価・・・人事評価はどのようにするのか。

賃金・・・60歳以降の賃金はどうするのか。60歳以前の賃金も見直すのか。

退職金・・・いつ受け取れるようにするのか。いつまで積み立てか。

などです。

そのほか制度の運用時期も考慮する必要があります。制度を作ってすぐスタートだと周知されておらず混乱を招きます。

定年引上げ、再雇用制度のメリットデメリット

メリットはまず労働力の確保があげられます。人手不足の現在の日本では新たに雇うより既存の労働力を逃がさないことが重要です。

次に技術の継承時間の確保です。長年働いた技術を若手に継承するためによい機会となります。

企業によっては60歳以上の業績評価基準に後進の育成や技術継承の評価が加えられているところもあります。

他には企業イメージの向上です。長く働ける会社は他企業だけでなく求職者にも良い印象を与えます。

デメリットとしては人件費の増加です。高年齢者だからと言って安易に給料を下げることはモチベーション低下や退職を招くためおすすめしません。

しかし、高齢になっても賃金が高止まりすることで企業の人件費を圧迫します。賃金制度の見直し、定年引上げではなく有期雇用労働者として1から再雇用するなどの対策が必要となります。

他には役職が詰まってしまうことですね。役職定年を設けるなどをして次世代育成にも配慮しましょう。

 

2022年5月の65歳以上高齢者人口は3624万人となり全人口の28%となっています。

若い労働者がどんどん減少しているなかで労働力確保のために高年齢者を雇用することは避けては通れない道となるでしょう。

早いうちから高年齢者を雇用できる制度を整え、人手不足を解消し、企業を守りましょう。

2022年11月10日

労働災害と労災保険

労働災害には労働災害と通勤災害があります。

両者とも労働災害補償保険が適用されます。

業務災害、、、労働者の業務上の負傷、疾病、障害、死亡

通勤災害、、、労働者の通勤上の負傷、疾病、障害、死亡

業務災害の判断基準は業務遂行性と業務起因性の2点で判断されます。

業務遂行性とは仕事中に被災したということです。

業務起因性とは仕事に起因して被災したと言うことになります。

長時間労働をしていたためにうつ病になったなども当てはまります。

休憩中のケガなどは基本的には仕事に起因していないので業務災害の対象外ですが、仕事場の設備でケガしたなどは業務災害となります。

労働者の過失は問題とならない

業務災害の判断には基本的には労働者の過失は問題となりません。

しかし故意の事故や法律違反の行為をしていたために業務災害となった場合などには保険給付の全部又は一部を受けられないことがあります。

車の事故、相手は無保険の場合

営業などで外回りをしている時に事故をした場合、自動車保険で終わらせてしまう会社も多いでしょう。

しかし、相手が無保険の場合、治療費をもらえず泣き寝入りとなってしまいます。

ここで仕事中の事故として労災保険を使えば相手が無保険でもきちんと治療が受けられます。

 

11月は労働保険適用促進強化月間です。

労働保険に未加入の企業に私たち社会保険労務士などが加入勧奨に訪問します。

もしまだ加入していない企業は今のうちに加入し、もしもの労働災害に備えましょう。

2022年11月07日

助成金セミナーを開催いたします

この度助成金セミナーを開催することとなりました。

開催日程は大垣市のソフトピアジャパンで11月22日(火)、岐阜市のOKBふれあい会館で11月25日(金)となります。

時間は14:00~15:00の1時間程度です。

参加特典としてセミナー後に無料の特別相談を承ります。

当日は助成金とは何かという基本的なことからおすすめの助成金、助成金の申請にあたり必要なことなどを労働局側の視点も交えて案内いたします。

この機会に助成金に取組みたい企業はぜひご参加ください。

 

2022年11月04日

12月からの雇用調整助成金

12月から雇用調整助成金の制度が変わります

12月から助成金制度の前に内容が変わります。

まず助成率が4/5(解雇等ない場合は9/10)から2/3に変わります。

上限は変わらず8,355円です。

しかし、業況特例が4/5(同10/10)から2/3(同9/10)となり、上限も12,000円から9,000円となりました。

休業支援金も縮小

休業支援金も8割から6割の支援となります。

上限は8,355円と変わりません。

段階的に制度が変わります

この制度改正は令和5年3月分の給料までのものです。

しかし、業況特例は令和5年1月分までの措置で令和5年2月からはなくなり、原則的な措置のみとなります。

 

2022年10月31日

企業のメンタルヘルスの実態と対策の調査

今回は厚生労働省が調査した労働安全衛生調査を確認したいと思います。

メンタルヘルス不調により休職・退職した企業は10.1%

メンタルヘルス不調により連続1か月以上休職した労働者、または退職した労働者がいた事業所の割合は10.1%となっています。

産業別でみると、電気・ガス・熱供給・水道が最も多く34・8%、次いで情報通信業が29.6%となっています。

メンタルヘルス対策に取組んでいる企業6割にも満たない

メンタルヘルス対策に取組んでいる企業は59.2%と6割にも満たない数字となっているが、事業所規模が小さいほど対策をしていない結果となっています。

50~99人の事業所では92.2%、30~49人では70.7%、10~29人では49.6%となっています。

またメンタルヘルスの取組内容(複数回答)としては、ストレスチェックの実施が1位で65.2%、職場環境等の評価及改善が2位で54.7%

メンタルヘルス対策に関する事業所内での相談体制の整備、メンタルヘルス不調者に対する必要な配慮の実施が同率3位で50.2%となっています。

長期にわたる休職・退職を出さないために

長期にわたる休職、もしくは退職となると会社にとって大変な負担となります。

なるべく休職・退職を出さないためには普段から従業員のメンタルヘルスの対策をしましょう。

時間外労働の削減、深夜や休日労働をなくすなども当然ですが、外部に相談窓口を設けることも良いでしょう。

日頃の予防が会社と労働者を守ります。

2022年10月27日

2か所掛け持ちで勤務している場合の雇用保険

雇用保険の加入の条件

雇用保険は週20時間以上の労働、31日以上の雇用見込みの2つを満たした場合に加入することになっています。

2か所両方でこの条件を満たす労働者は両方とも加入するわけではありません。

主たる賃金を受ける方で取得することになります。

あとから入社した方がダブルワークをしていることを知らずに雇用保険の取得をしようとしても重複加入はできないようになっています。

この場合、労働者が他社を退職した場合は知らせてもらうことが重要です。

何も手続きしないままだと雇用保険の未加入となるからです。

雇用保険の離職票の手続をするタイミング

雇用保険の離職票を発行するタイミングは離職した場合は当然ですが、週20時間未満となった場合でも資格喪失の手続する必要があります。

雇用保険の失業給付の受給は基本的には退職から1年以内に受給しきらないといけないので、資格喪失の手続の際には労働者に失業保険の受給について必ず知らせましょう。

2022年10月24日

リファラル採用のメリット

従業員による紹介から採用

リファラル採用とは近年注目されている採用方法で、従業員による紹介から採用につなげる方法です。

研究職などでは一般的な採用方法ですが、最近は非研究職の採用にも広がってきています。

リファラル採用のメリット

メリットとしてはまずある程度人物が保証されているということです。

紹介する従業員も会社に変な人を紹介できないために信用できる人物を紹介してきます。

また、短期間で退職する可能性が少ないです。

紹介者に迷惑をかけられないという点もありますが、ある程度会社の雰囲気や仕事の内容を理解してからの紹介となるのでミスマッチが起こりにくいということもあります。

また、職業紹介事業者を介さないので採用にかかるコストが格段に削減できるのも良いところです。

採用難の今こそ実施しましょう

2022年8月の有効求人倍率が全国で1・32、我が岐阜県では1.69となり、人材不足が顕著となっています。

ただの人でさえ求人できないのに安心して仕事を任せられる人となったらいつになっても採用できません。

これを機にリファラル採用を実施してはいかがでしょうか。

ただしほかの採用方法と同様に入社試験、雇用契約書などの必要書類の整備は必ず行いましょう。

2022年10月21日

採用に関する調査結果と各企業の対応

日本商工会議所および東京商工会議所が実施した調査「人手不足の状況及び新卒採用・インターンシップの実施状況」の結果から各企業の人材に関する現状とその対応策について確認したいと思います。

【出典】

人手不足の状況及び新卒採用・インターンシップの実施状況|日本商工会議所ならびに東京商工会議所

人手不足と回答した企業は64.9%

人手が不足していると回答した企業の割合は64.9%となり、前回の調査(2022年2月)と比べて4.2%増加した。

業種別でみると、「建設業」(77.6%)、「運輸業」(76.6%)において、「人手が不足している」と回答した企業の割合が高い。コロナによる深刻な影響を受けた「宿泊・飲食業」(73.9%)においても7割を超える企業が人手不足と回答。

2021年度の新卒採用の状況については、募集した企業は51.0%。そのうち、「予定人数を採用できた」と回答した企業は45.6%にとどまり、約2割の企業が「募集したが、全く採用できなかった」(19.9%)と回答。

企業の人材採用の対応策は賃上げ、募集賃金の引上げが1位

求職者に対して魅力ある企業・職場となるための取組は「賃上げの実施、募集賃金の引上げ」と回答した企業が最も多く57.0%、

次いで「福利厚生の充実」(45.9%)と、待遇の改善による取組が多い。

その他、「人材育成・研修制度の充実」(41.1%)も4割を超える。

「多様で柔軟な時間設定による働き方の推進」(21.0%)、「場所にとらわれない柔軟な働き方の推進」(11.0%)となった。

また、2つの選択肢のうちいずれかを回答した企業(=「柔軟で多様な働き方」導入に取り組む企業)の割合は、26.1%となった。

2022年10月19日

助成金の不支給事件と対策

助成金は要件を満たさなければ不支給となる

助成金にはさまざまな要件があり、要件を満たさないと助成金は受給できません。

すべての助成金に共通する要件と各助成金の要件があります。

個別の会社の事情があるのですべてを予防することは困難ですが、ある程度は対応することができます。

ここでは実際にあった事例とその対応策について紹介します。

助成金申請後、労働者が退職した場合

助成金申請後、労働者が退職し雇用保険適用事業所ではなくなってしまったケースです。

助成金支給決定時に雇用保険適用事業所でなくてはならないので、助成金は受給できなくなります。

解雇でない自主退職でも同様ですので支給決定されるまで退職されないようにしましょう。

どうしても退職してしまった場合は、早めにほかの労働者を雇用保険適用させましょう。

新しく雇用しても大丈夫ですので、支給決定までには雇用保険の適用をし、会社を雇用保険適用事業所にしましょう。

会社で解雇があった場合

これは助成金によって期間が異なっていたり、要件が異なるのですが、キャリアアップ助成金(正社員化コース)であれば

対象者を正社員転換した日の前後6か月の期間に解雇があれば助成金は受給できません。

解雇することの不利益で一番わかりやすいのがこの助成金が申請できないところです。

対策としては解雇とならないような退職の仕方をしてもらうことです。

また有期雇用労働者でしたら次回の契約更新はしないと最終契約時にあらかじめ伝えておくなどの対処が必要です。

せっかく取組んだ助成金を取りこぼさないために要件をよく確認して申請してください。

2022年10月17日

就業規則の懲戒

懲戒は定めていないと実行できない

会社に問題社員が出現したとき、どのように対処していますか。

社長が「解雇だ!」と言って終わらせていませんか。

もしこのようなやり方で対処していたというのでしたら今すぐやめてください。

労働者に法的対抗をされたら会社に甚大なダメージとなります。

そうならないために会社は就業規則を整備し、懲戒に関して定めておく必要があります。

その制度に則り対応することが会社を守ることとなります。

懲戒は定めていないと実行できない

表彰のような労働者にプラスになる事柄は就業規則に記載していなくても実行することは可能です。

しかし、労働者にマイナスとなる事柄は就業規則に記載し、周知していなければ実行できません。

日本の社会でも刑法などに条文が記載されて誰でも調べられるからその条文に則って処罰されるのです。

社内の法律を作り、周知することが罰則をするための条件となります。

会社にとって迷惑である行動をする労働者がいても、就業規則などに定めていない場合は会社は何も罰則はできません。

就業規則に定める場合は

就業規則に定める場合は懲戒の種類、懲戒事由、懲戒処分の基準などを定めましょう。

また、処分には幅を持たせましょう。

セクハラと一口に言ってもその内容には軽度のものから事件となるものまであります。

セクハラは出勤停止などと処分を確定できるものではないはずです。

あとは加重処分などもあるとよいでしょう。

極めて悪質である、同時に2つ以上の懲戒行為をしているなどの場合に懲戒を加重します。

会社にとって問題である労働者に早く去ってもらうために、常日頃から予防し、社内制度を整えてください。

2022年10月12日

パパ育休に助成金?両立支援助成金

令和4年10月からパパ育休がスタート

育児・介護休業法の改正で出生時育児休業(産後パパ育休)制度が創設されました。

産後8週間の間に父親が4週間まで育休取得可能です。

これにより、母親が産休の間に父親が一緒に育休を取れるようになりました。

しかし男性の育児休業取得率は約14%(2021年)となっておりまだまだ少ないのが現状です。

うちも対応しないとなぁと考えている企業にぴったりの助成金があります。

両立支援助成金(出生時両立支援コース)です。

パパ育休についての制度を作り、取組むと助成金が申請できます。

両立支援助成金(出生時両立支援コース)

いわゆる子育てパパ支援助成金というものです。

主な要件は

・男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土作りのための取組を複数行うこと。

・男性労働者が出生後8週間以内に開始する連続した14日(中小企業は5日)以上の育児休業を取得すること。

となります。

支給額は1企業1回限りで20万円となります。

代替要員の雇用1~2人で20万円、3人以上で45万円の加算もあります。

また、上記の支給を受けた後に男性労働者の育休取得率が3年以内に30%以上上昇した場合にも達成また達成年によって助成金が支給されます。

助成金を受給しながら働きやすい会社を目指しましょう

助成金の取得を目指すことは、働きやすい職場づくりをすることにつながり、ひいては労働者の定着や新規採用につながっていきます。

助成金があるものは国が促進したい内容であり、将来義務化されることも多いです。

助成金があるうちに取組み、お金を受給しながら将来に備えましょう。

 

2022年10月07日

最低賃金引上げで企業が気をつけること

10月から順次最低賃金が引き上げられる

10月1日から都道府県ごとに順次最低賃金が引き上げられています。

最低賃金以下の時給で契約している企業は最低賃金以上での支払いとなります。

これは給料の締め日の途中でも最低賃金引上げ日から変更となります。

給料引上げ以外に気を付けることを紹介します。

扶養内で働く労働者の労働時間の削減

扶養控除に該当する年間103万円以下で調整している労働者は、最低賃金の引上げで以前より短い労働時間でその上限に達してしまいます。

そのため、労働時間を削減することで扶養内とします。

扶養外で以前と同じ手取りとするには年間150万円位必要となるため、労働時間を短縮することが企業としても望ましい方向だと思います。

しかし、何人もの労働時間を短縮すると労働力不足となります。

その場合、どのように対処するのがいいでしょうか。

最低賃金発効前に新規採用する

これは来年以降の最低賃金引上げに言えることですが、最低賃金での採用となると求職者からみて魅力のない企業となります。

当然他社も最低賃金以上での採用をしているためです。

求職者不足の今、最低賃金引き上げ前に最低賃金+αでの採用をしておくことで労働者を確保しましょう。

来年10月最低賃金引上げを見越して準備をしておきましょう。

 

2022年10月05日

最低賃金引上げへの対抗策

2年連続での最低賃金大幅アップ

昨年に引き続き最低賃金が大幅アップしました。

各都道府県で10月から順次新しい最低賃金が適用されていきます。

全国加重平均で時間当たり961円となるとのことです。

企業にとっては大変な負担になっていることでしょう。

しかし、うまく対応することによって企業の負担を減らせるかもしれません。

昇給を10月とすることで対応する

最低賃金引上げは毎年10月です。

昇給がある企業はここに昇給時期を合わせることによって2度の昇給になることを防ぐことができます。

歩合給を採用している企業など、固定給が低くなっている給与体系の場合は効果的です。

助成金に取り組む

最低賃金引上げに合わせて助成金に取り組むことも有効です。

例えばキャリアアップ助成金(正社員化コース)は正社員化前後で時給単位で3%以上の昇給が必要ですが、最低賃金上昇に乗じて昇給をすれば

負担感も減るのではないでしょうか。

1人正社員化することにより47万円が支給されます。

最低賃金引上げのついでにやるには十分だと思います。

他には業務改善助成金も有効です。

事業場内の最低賃金引上げが条件ですが、この機会に合わせると助成金で安価に設備投資ができます。

引き上げた人数や引き上げ額にもよりますが30~600万円の助成額となります。

2022年09月30日

助成金増額?生産性要件とは

助成金を増額させる方法

同じ助成金を取り組んでも、生産性要件を満たして申請すると助成金の額が割増されます。

例えばキャリアアップ助成金の正社員化コースが中小企業だと通常57万円の助成額ですが、生産性要件に該当すると72万円となります。

決算書を確認しなければならないので敬遠されがちですが、慣れたら簡単に作成できます。

もし間違えていても助成金が受給できないわけではないので、生産性要件対応の助成金は挑戦してみてください。

生産性要件とは

生産性要件は直近の会計年度における「生産性」が

①3年度前と比べて6%以上伸びている

②3年度前と比べて1%以上(6%未満)伸びていて金融機関から一定の「事業性評価」を得ていること

が条件となります。

生産性要件の計算式は

生産性=付加価値(営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課)÷雇用保険被保険者数

となります。

3年前より利益が減っている企業でも雇用保険被保険者数が減っている場合は生産性要件を満たす可能があるため、一度計算してみる必要があります。

通常の要件に加え生産性要件の要件も追加される

通常の助成金にある要件に加え、生産性要件にも要件があります。

生産性要件で計算する直近年度及び3年度前の期間について解雇していないなどの要件が追加されます。

退職勧奨も該当してくるので注意をしてください。

しかし、通常の助成金から25%の増額は大変魅力的なものです。

ぜひ挑戦して、助成金額の増額をしてくだい。

 

2022年09月28日

時間外労働と労災認定の目安

残業が多い労働者が病気、死亡した場合は労災となる可能性がある

長時間労働により身心にさまざまな悪影響が起こります。

その中で脳血管疾患、虚血性心疾患などが発症した場合に長時間労働をしたため労働災害によって起こったと認定されることがあります。

今回はその労災認定される目安と注意点を確認しましょう。

目安は月残業80時間

1月で100時間、2~6月の平均で80時間が目安となります。

この数字は過労死ラインと呼ばれ、この基準を超えてくるとほかに個人的な理由が認められない限り長時間労働が疾病との関連性が高いとして労災認定されます。

他には休日や勤務環境、勤務内容なども労災認定の可否の要因となります。

この残業80時間とは週労働時間40時間を超えた部分の合計となります。

ですので週の労働時間が短い労働者は残業の時間が長くても該当しない場合があります。

80時間未満でも職場環境などにより認定されることも

上記にもある通り、80時間は目安です。

職場環境など総合的に判断されます。

ここで最新の労災認定の判断を紹介します。

三菱ふそうトラック・バスで7年前に急性心不全で死亡した当時38歳の男性の事例です。

過労死ラインの月平均80時間未満(77時間)でも労災と認められた事例です。

深夜帰宅が多く、空調設備のない作業場で温水スチームによる車の洗浄作業もされていたとのことです。

厚生労働省は令和3年に脳・心臓疾患の認定基準を改定しています。

上記の労災事例は一度労災の申請を退けていたものを一転して認定したものです。

これから過去の疾病、死亡について労災と認められることが増えてくるでしょう。

企業としては、残業をできるだけ減らす、職場環境を改善するなどの対応が求められます。

 

2022年09月26日

労働時間の管理をしましょう

労働時間の管理をしましょう

労働者の労働時間をきちんと管理していますか?

賃金、残業代の計算のもとになるものです。

会社や業界によっては出勤したかどうかのみを記録している出面表のようなものしかない場合など、労働時間の把握ができないものも多く見られます。

労働時間を適正に管理していないとも争いの原因となるばかりか、行政の指導を呼び込む要因ともなりえます。

大事な会社と従業員を守るために正しい労働時間の管理をしましょう。

どのように労働時間を管理するの?

では正しい労働時間管理とはどのようにすればいいのでしょうか。

まずタイムカードです。

紙のタイプとインターネット上での打刻のタイプがあります。

他にはパソコンを使っての仕事を主にしている場合はPCのログ記録なども有効です。

いずれにせよ客観的な労働時間の把握が必要となります。

トラック運転手などに多いトラックのデジタコの運行時間の把握ですが、確かに運転時間については把握できますが荷下ろしなどの時間については確認できないので注意が必要です。

争点となる従業員側からの証拠

残業代の請求などの場合、従業員側からでてくる証拠があります。

まずメール、電話の記録です。

上司、同僚との連絡や企業アカウントを使用しての連絡は仕事とみなされることが多いです。

次にSNSです。

Twitterなどに残業に関しての記入やLINEなどでの家族、友人に今から帰るなどやり取りが証拠となる場合があります。

他には日記です。

毎日の残業時間を労働者が独自に記録していてそれが証拠として採用された例もあります。

どれも単独では証拠として不十分でも、会社の記録や証拠と組み合わせて整合性があると証拠として認められます。

2022年09月21日

2022年度オススメ助成金BEST3

今年度おすすめの助成金BEST3を紹介します。

①キャリアアップ助成金(正社員化コース)

パート、アルバイトを正社員としてキャリアアップすると受給できる助成金です。

正社員転換後、基本的賃金を3%以上上昇することが必要です。

最低賃金が10月で上昇するのでそこのタイミングに合わせると負担感が少ないと思います。

去年度までとは違い、昇給と賞与または退職金が必須となりましたがそれでもおすすめです。

通常の助成金額は1人につき47万円となります。

年間20人まで助成金の対象にできますので年間1000万円ほど助成される会社もあります。

②65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)

最高160万円の大型助成金です。

65歳以上に新たに定年を延長した場合などに受給できる助成金です。

現在60歳以上の労働者の人数と、延長した定年の関係で助成金額が変わります。

時流から言っても高齢者雇用が求められ、将来的には70歳定年の義務化も予想されます。

助成金が受給できるうちに対応して、労働者確保をしながら助成金をもらいましょう。

③両立支援等助成金(出生時両立支援コース)

男性育休の助成金です。

連続5日以上の育休を取得させた場合に20万円が受給されます。

代替要員確保でさらに20万円加算です。

令和4年10月から出生時育児休業(産後パパ育休)が創設されるのでこれも時流にあった助成金と言えます。

番外:治療と仕事の両立支援助成金(環境整備コース)

研修を受け、従業規則を変更すると受給できる助成金です。

研修は無料でネットでできるので旅費や交通費の心配はありません。

気軽に取り組めるおすすめ助成金でしたが、現状受付しておらず、再開のめども立っていません。

2022年09月16日

定額残業制のメリットデメリット

定額残業制とは?

残業代を一定額支払うことを確約した制度です。

残業代〇万円、残業〇時間分と決めておくことで、給料の支払額をある程度確定することができます。

しかしこの制度を取り入れている企業は多くありますが、すべての企業が適正に運用しているわけではないようです。

例えば定額残業代を支払っておけばこれ以上残業代を支払わなくてよいと勘違いしている事業主が多くいます。

メリットとデメリット

メリットとしては、上記にもありますが給料の支払額が確定することです。

労働者としても毎月最低〇万円入ってくると計算できるので安心して努められます。

また、残業をしてもしなくても給料が同じですので効率よく仕事をしてだらだら残業することが少なくなる傾向があります。

他には、求人の際に総支給額を多く提示できます。

基本給20万円とする企業と総支給額25万円(定額残業代含む)とする企業だと後者の方が給料の見栄えがいいです。

デメリットとしては、残業代を過大に支払ってしまう可能性があります。

企業の実情を把握し、入念な制度設計をする必要があります。

例えば、企業の残業が平均で10時間しかないのに定額残業で20時間分支払うとすると10時間分過大に支払うことになります。

他には、定額分の残業が義務であると労働者に誤解される可能性があります。

制度導入にあたって労働者に十分な説明をする必要があります。

導入にあたっての注意点

まず不利益変更に注意する必要があります。

今までの給料に上乗せで定額残業代をつける場合はいいのですが、今までの基本給の一部を固定残業代とする場合は基本給が減額されることになるので不利益変更となります。

この基本給を減額した場合は最低賃金を割らないようにすることも注意してください。

また労働者には説明会を開くなど制度をよく理解してもらい、制度導入でモチベーション低下とならないようにしましょう。

2022年09月14日

割増賃金っていくら払えばいいの?

時間外労働をさせた場合は基本給+割増賃金

労働者に時間外の労働をさせた場合は通常支払う賃金以外に割増賃金の支払いが必要です。

では実際にはどのようなときにいくら支払えばいいのでしょうか?

法律で決められた条件と割増率を確認しましょう。

①時間外労働・・・1.25倍

②時間外労働(月に60時間を超える場合)・・・1.5倍

③休日労働・・・1.35倍

④深夜労働・・・1.25倍

⑤時間外+深夜労働・・・1.5倍

⑥休日+深夜労働・・・1.6倍

となっています。

時間外は早出、残業の労働が該当します。

休日労働とは、週1日の法定休日をいい、例えば週休2日の労働者が休日の1日を労働した場合は休日労働ではなく時間外労働となります。

深夜労働とは午後10時から午前5時までをいい、深夜に仕事をすること自体に割増賃金を要しています。

何に対しての割増率?

通常の労働時間・労働日の賃金の計算額に対する割増となります。

時給1000円で残業をさせたらそれに1・25倍の割増率を乗じて1250円となります。

月給である場合は月の所定労働時間で割り、時間単位の賃金を割り出し、そこに割増率を乗じて計算します。

手当がある場合は基本的には計算の基礎に含めますが、家族手当や通勤手当のような労働の内容や量に無関係な労働者の個人的な事情により支払われる賃金、

賞与などの1か月を超える期間ごとに支払われる賃金などは計算に含めません。

仕事の準備も仕事です

労働者に早く出勤させて掃除、着替えなどの準備をさせている場合、これも仕事となります。

当然労働時間として割増賃金が必要になります。

会社の懇親会やゴルフコンペなども参加が強制されている場合は幹事役などでなくとも労働となります。

ここら辺は労使トラブルになりやすいところです。

正しい労務管理を心がけて、労働者に気持ちよく働いてもらい、労使トラブルを防ぎましょう。

2022年09月13日

職場の労働災害

労働災害の発生状況は?

岐阜労働局が発行している安全衛生DataPlusというパンフレットで令和3年の労災発生状況についての情報があったので確認しましょう。

労働基準監督署の方にお話も聞いたのでそれも記載します。

すべての産業で起きた労働災害の発生状況で1番多いのは転倒(21.3%)で次に多いのは墜落、転落(16.0%)、それから

はさまれ、巻き込まれ(13.5%)、無理な動作(9.7%)と続きます。

特に転倒は、高年齢者が雇用されることが多くなってきたため増えてきた労災とのことです。

加齢により平衡感覚がなくなることで転倒し、骨折します。

経験年数別では10年以上のベテランが多い

経験年数別では大垣署管内ではありますが経験年数10年以上(36.2%)、1年~5年未満(24.9%)、3か月~1年未満(16.4%)、

5年~10年未満(14.4%)となっています。

意外にもベテランが多く労働災害となっています。

10年以上はすべて入っているので分母も大きくなっているとは思いますが、労基署の方はベテランになると加齢で体が以前より動かない、

また仕事に慣れがでて安全装置を煩わしく思い外してしまうとのこと。

他には変化を嫌うためにより安全な手順や環境への転換を拒む傾向があるとのこと。

労働状況を把握し、安全衛生に務めましょう

仕事が過重でいつも忙しい、職場の清掃が行き届いていない、決められた手順を守っていない。

こんな状況になってはいませんか?

事故が起きてからでは遅いのです。

10月1日~7日まで全国労働衛生週間です。

9月はその準備期間ですが、これを機に安全な職場づくりに努めましょう。

2022年09月09日

助成金が急に受付終了?

助成金は急に受付終了をします

7月29日に業務改善助成金特例コースの受付が終了しました。

これは、9月1日にまた再開していますが、このように急に助成金の受付が打ち切られることがあります。

さまざまな理由がありますが、多くは予算の上限に達したために終了となります。

助成金には予算があり、予算の上限に達すると年度の途中であっても受付を終了してしまいます。

きちんと助成金に取り組んでいても受付終了となると助成金は申請できません。

人気の助成金ほど早く終了してしまう

去年年度の途中で受付終了になった65歳超雇用推進助成金は定年を延長すると受給できる助成金で、現在でも大変人気のある助成金です。

助成金額も会社の状況によっては最高160万円も受給できることから取り組む会社は多くありました。

しかし、予算の上限に達したために助成金は受付終了となってしまいました。

助成金は基本的に年度単位で予算が組まれるので、4月から始まり、3月に近づくにつれて助成金が受付停止されていくのです。

受付終了の期限までに申請できていれば助成金は受給できます。

助成金は早めに取り組み、早めに申請しましょう

助成金の受付停止については上記の通りですが、助成金によっては申請要件に「申請時点で労働者を解雇していないこと」など、

申請が遅れたことによって会社の状況が変わり申請できなくなってしまうこともあるのです。

私がハローワークで助成金の受付をしていたときですが、申請日最終日に持ってくる会社は申請に不備があることが多く、

書類受付不可となり助成金が受けられない会社もありました。

申請期限が申請はじめから2か月以上と長いものも多く、本業が忙しくつい申請は後回しになってしまうことも多いですが、

せっかく取り組んだのに助成金が受給できないという状況とならないように早めに取り組み、申請しましょう。

2022年09月05日

雇用調整助成金の10月以降の延長

雇用調整助成金が10月以降も延長されることが決定されました

雇用調整助成金のコロナウイルス特例(以下、雇調金コロナ特例)が10月分以降も延長されることが決定されました。

今回は10月~11月分についての延長です。

12月以降の分についてはまた10月末までに発表されるとのことです。

助成金の内容は縮小される

今までの助成額は原則1人1日9,000円でしたが、10月分以降からは雇用保険との均衡を考慮して日額8,355円が上限となります。

業況特例でも日額15,000円から12,000円へ上限が変更となります。

助成率の変更はありません。

今後も縮小、廃止の方向性は変わらない

コロナウイルス発生当初と異なり、現在は企業の雇用意欲も高まり、有効求人倍率も1.3となるなど雇用維持の観点からすると雇調金コロナ特例の必要性が

なくなってきています。

費用もかかっているので、国としては縮小、廃止としたいのです。

去年度から助成金の不正受給についての対応について特に広報していたのもその理由の1つでしょう。

企業としては、雇調金コロナ特例が廃止されることを前提に準備しておいた方がよさそうです。

いまだに全休している企業などは補助金を活用し、業種転換を図ることも視野にいれて活動することもおすすめします。

2022年09月02日

解雇トラブルで企業が失うもの

解雇をすることで負うリスク

解雇をすることで元労働者が労基署へ駆け込んだり、裁判をした場合には企業はさまざまなものを失います。

どのようなマイナスがあるかを把握し、労働者の退職の際にも円満に解決することを心がけましょう。

まずお金です。賃金や残業代を過去にさかのぼって支払う必要が生じたり、裁判費用や罰金、損害賠償が発生するリスクがあります。

次に時間です。裁判や裁判外でも元労働者が法律家などを立てて交渉してきた場合などはその対応に多大な時間が必要になります。

またその際には社長や役員、人事責任者などが対応することになりますから通常業務が圧迫されるでしょう。

他には社会的信用です。労基署からの是正勧告を受けたり裁判となったらニュースとなります。ネット上での誹謗中傷の的となってしまったら

本業に支障をきたすでしょう。

また、従業員のモチベーション低下も招きます。解雇横行している企業で安心して働くことができますか?その解雇が裁判になり、ネガティブな

ニュースとなってしまったらほかの従業員の退職を招くことにもなります。

事業機会が失われることも考えられます。解雇から雇用問題が外部に漏れることによって行政処分の対象となり、営業停止などの処分となった場合

企業の存続をもおびやかしかねません。

解雇をするのではなく、退職に導く

解雇をするとリスクがあることは、理解していただいたと思います。

しかし、企業にとって有益でない問題社員はどうしても存在します。

その場合の対処法は退職を選ぶように導くことです。

自分がこの企業にいても明るい未来はないと理解してもらいましょう。

しかし、退職するように強要しては解雇となってしまいます。

退職金を多めに支払うなど、退職にメリットを感じさせるのも1つの手です。

円満な退職で問題社員にはみずから去ってもらい、企業の健全な活動を手に入れましょう。

2022年08月31日

小学校休業等対応助成金のQ&A

コロナウイルスの第7波に伴い、小学校休業等対応助成金についての問い合わせが多くあり、その中でよく聞かれていることをまとめてみました。

同業の社労士でも勘違いをしているところもありますので休業に対してきちんと対応し、損をしないようにしましょう。

夏休み期間は助成金の対象期間とはなりませんよね?

子供が夏休みの場合は助成金の対象期間でないと思い込んでいる事業主が多いですが、この助成金はコロナにかかった子供の面倒を見るために

仕事を休まざるを得ない人の賃金確保のための助成金です。

子供が出校日でなくとも助成金の対象となります。

雇用保険に加入していないので助成金の申請はできませんか?

雇用保険に加入していない労働者も対象となります。

もちろん、加入する義務があるのに加入していない場合は加入することが必要です。

雇用保険に加入していない労働者の場合は、助成金の金額もそう多くはないために企業が対応しない場合も多いですが、

労働者からすれば大切なお金ですのできちんと補償してあげましょう。

ちなみに、代表取締役以外の会社役員も雇用内容によっては助成金の対象となる可能性があります。

休業する親はどちらか1人ですか?

両親とも子供のために休業した場合は、2人とも助成金の対象となります。

最近は、企業としての休業はしていなくてもコロナウイルスに感染した子供の面倒をみるために休業する労働者が多くいます。

したがって雇用調整助成金は申請できないが、小学校休業等対応助成金を申請したいとのことでニーズが増えてきている印象です。

どの助成金にも共通することですが、申請期限内に助成金の申請をしなければいくら休ませても助成金は受給できません。

早いうちから助成金の対応をし、申請まですることが必要です。

2022年08月29日

今年の10月に施行される改正育児休業法

10月に施行される改正育児・介護休業法

今度の10月に新たに施行される育児・介護休業法を紹介します。

4月にもすでに施行されている個別の周知、意向確認の義務化、有期雇用労働者の育児・介護休業の要件の緩和に続いて第2弾となります。

改正は大きく2つで①産後パパ育休の創設、②育休の分割取得となります。

産後パパ育休の創設

育休とは別に産後すぐの男性の育児休業となります。

子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能です。

労使協定を締結している場合に限り、休業中に対象労働者を就業させることが可能です。

しかし、無制限に就業させてしまうと育休の形骸化となってしまうので、就業可能日数に上限があります。

それは所定労働日・所定労働時間の半分です。

休業中の所定労働日が10日であれば5日というわけです。

育児休業の分割取得が可能

今までの育休は1回のみの取得でしたが2回に分割して取得することが可能となりました。

また、1歳以降の再取得も特別な事情があると認められれば可能となります。

このとおり、ワークライフバランスの言葉を体現するような制度改正が増えています。

助成金としても両立支援助成金など、この育児休業の分野にもありますので取り組んではいかがでしょうか。

2022年08月22日

コロナ関連の政府の補償

ここ10日ほど、コロナウイルスにかかり寝込んでいました。

高熱で食事も満足にできませんでした。

企業や労働者なら仕事を休むことになると思います。

休んだ分の給料は支払わなければならないの?補償してもらえるの?

今回は、コロナウイルス周辺の政府の補償を確認したいと思います。

労働者本人が陽性の場合は傷病手当金

労働者本人がコロナ陽性者の場合は傷病手当金となります。

年金事務所で請求となります。

金額はざっくり給料の3分の2です。

会社との協定金額にもよりますが、雇用調整助成金より少ないことが多いです。

労働者本人が濃厚接触者で会社命令で休業させた場合

雇用調整助成金となります。

現在は基本的な助成率は90%です。

労働者としては会社との協定で決めた金額(率)となります。

会社が休業分の賃金を支払ってくれない場合は労働者が新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金を申請してください。

子供がコロナになり、その看護のために休業した場合

子供がコロナ陽性者、濃厚接触者となり、その看護のために仕事を休業した場合は小学校休業等対応助成金となります。

小学校以下の子供に付き添っての休みが基本となります。

子供に障害があるなどの場合のみ中学生などでも可能となります。

中学生なら親が付き添わなくても大丈夫ということでしょうか。

以上の通りですが労働者の休みに対しては補償があるものの企業にはあまり補償がない印象です。

第7波のコロナ流行などなかなか収束する兆しも見えませんが、使える助成金はなんでも使い、この激動の時代を乗り切りましょう。

2022年08月17日

労働者が悪くても解雇できない?

労働者のミスが多い、セクハラなど周囲に実害がある場合でも解雇が認められない場合があります。

今回は裁判の判決を通して解雇の現実と対応方法を見ていきましょう。

事件の概要

平成30年8月に、労働者が36件の業務ミスと7件の非違行為(セクハラ)を理由に解雇されました。

解雇された労働者は解雇無効を主張し、地位確認及び賃金支払いを求め、裁判をしました。

裁判所は勤務成績や業務遂行能力が不良であったことは否定できないとしながらも、

解雇は無効とし、地位確認及び賃金支払いを認めました。

現在控訴中ですのでまだ裁判の途中です。

判決の要旨

36件中27件は労働者のミスであると認められましたが、いずれも解雇から半年以上前であったり、

細かなミスで修正が指示され対応していたことから改善の意欲や可能性がないとまでは言えないとし、

解雇に相当する程度までは言えないとした。

また7件のセクハラのうち1件のみ性的な言動があったと認められたものの、身体的接触でも直接的に性的な発言でもなかったことから、

その程度は重大とまでは評価できないとした。

以上より、解雇は無効として、社員の地位の確認及び賃金の支払いを認めました。

判決からわかること

30件以上のミスの証拠、セクハラの証拠を用意しても解雇できないという判決でした。

まだ確定していませんので判決が変わ可能性はありますが、会社の解雇は非常に厳しい条件であることがわかります。

改善の意欲がないことの証明などという内心のことなどどのようにするのでしょう。

企業としては問題社員になりそうな者は入社試験の際にできるだけ排除する、人事評価制度をしっかりと作り

賃金や評価を客観的にわかるようにするなどの労務管理の基本を実践する他なさそうです。

2022年08月05日

最低賃金引上げをチャンスに!業務改善助成金

最低賃金の30円以上の引上げのニュースがありました。

企業としては去年に引き続き厳しい最低賃金引上げ条件となりました。

せめてこのピンチを助成金というチャンスに変えて設備投資を安くおこないませんか?

今日はその業務改善助成金を紹介します。

業務改善助成金とは?

生産性向上のための設備投資を行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に設備投資にかかった費用の一部を助成するものです。

賃金引上げの最低金額は時給換算で30円です。

助成金の上限額は引上げ額、対象人数で変わりますが30万円~600万円となります。

助成率は事業場内最低賃金が900円未満なら80%、900円以上なら75%となります。

対象事業場は地域の最低賃金との差額が30円以内であること、事業場規模が100人以下であることが条件です。

生産性を向上させる設備投資とは?

すべての設備投資に対し業務改善助成金が受給できるわけではありません。

生産性向上のためというのが必要となってきます。

具体的にどういう事例が認められるかというと

・POSレジシステム導入による在庫管理の短縮

・リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮

・外部講師による従業員向けのコンサルティング

などがあります。

実際に設備投資前に労働局に問い合わせることによって設備投資の不確実性を排除できます。

最低賃金引上げの10月に合わせて取り組みましょう

最低賃金が30円ほど引上げられるというようなニュースも出ています。

どうせ最低賃金を引上げなければならないのなら助成金を活用し、安く設備投資をしませんか。

仕事の効率が上がると労働者さんの労働時間短縮となり、ひいてはモチベーションアップにもつながります。

 

 

2022年08月02日

社員を解雇した場合のリスク

労基署から臨検が入る

不当解雇を訴えたい社員が駆け込む先として考えられるのが労基署です。

労基署は労働基準法違反について取り締まる機関であり、解雇が不当かどうかといった民事的な問題には介入ができません。

不当な解雇であったとしても、解雇予告などの手続きが適正なら会社に指導や勧告ができません。

しかし、解雇とは別の労基法違反の事案を同時に申告された場合は調査が入ります。

労働時間の管理などから残業代未払いなどについて指導が入る可能性があります。

労働局から助言・指導、あっせんがなされる

労働局に不当解雇の訴えがされた場合、助言・指導が入ります。

当事者間での話し合いを促し、自主的な解決を図る制度です。

しかし、それで解決されない場合は専門家が間に入りあっせんとなります。

どちらも話し合いによる解決を目指す制度ですので、解決しない場合は次の手段に移行します。

弁護士などからの交渉となる。

社員が弁護士を入れて交渉してくることが考えられます。

訴訟は費用や時間がかかるので社員には負担が大きく、手が出しづらいです。

その点、3か月以内で結果が出る労働審判制度で対応してくる可能性が高いです。

労働審判は会社と社員の双方の意見を聞いて審判を行い、調停、和解による解決を目指します。

裁判の和解と同じ効果を持ち、その多くは会社が解雇を撤回し、従業員は合意退職をするとなります。

結局は会社が社員に金銭を支払うことになります。

2022年08月01日

就業規則の必要性

会社の法律を作りましょう

就業規則はご存じですか?

端的にいうと会社の法律です。

労働時間や残業の有無、退職に関することなどを記載します。

労働基準法などの法律に違反していなければ会社の実情にあわせて自由に作成できます。

労働者を10人以上雇っている企業は作成、労基署に届出の義務があります。

作っていない場合はこんな事例も・・・

罰則については就業規則を作っていない場合はできません。

社員が問題行動を起こしてもそれを理由に減給や出勤停止などの対抗措置が取れないのです。

ある会社で他の社員にハラスメント行為をする問題社員がいました。

その会社には就業規則がなく、ハラスメント行為をしたことによる罰則がありません。

そのため会社は有効な対応が取れず、会社の雰囲気が悪くなり業績低下、他の社員のモチベーション低下や退職を招く結果となりました。

小さい会社ほど重要です

問題社員が入ってきたとします。

1人の問題社員でも、大企業より中小企業の方が社員の人数に対する割合が大きくなります。

さらに、退職してもらうなどの対応をした場合にかかる費用なども資金に余裕のない中小企業は大きな負担となるでしょう。

作成義務のない労働者10人未満の小企業ほどしっかり作っておく必要があると言えるでしょう。

社員に問題行動させない、した場合は速やかに対処する、そのために会社の法律である就業規則を作るのです。

大事な会社を守るためにぜひ作成してください。

2022年07月28日

有給取得の義務化

年次有給休暇を取得させなければなりません

年間10日以上の年次有給休暇が付与されるすべての労働者に対し、毎年5日以上の有給休暇を確実に取得させる必要があります。

実は2019年から施行されていることです。

週5日勤務の労働者なら、6か月勤務した場合は10日以上の有給付与義務があるのでここから1年後までに5日以上の有給を取得させる必要があります。

パート、アルバイトも対象です

すべての労働者ですからもちろんパートやアルバイトの人も対象です。

労働者の週の労働時間が4日なら勤続年数が3年6か月以降、3日なら5年6か月以降からが年5日有給付与義務の対象です。

しかし、週30時間以上働いているようなら勤続6か月以降に年5日有給付与義務の対象です。

労基署の調査が始まっています!

労基署の調査が順次開始されています。

必要書類は賃金台帳や出勤簿、履歴書などです。

年次有給休暇管理簿も完璧にしておきましょう。

調査の中で有給取得が認められない場合は是正勧告され、場合によっては罰則で30万円以下の罰金となります。

 

2022年07月25日

65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)

65歳以上への定年の引上げで申請できる助成金

65歳以上への定年の引上げ、定年の廃止、希望者全員を対象とする継続雇用制度の導入などを行った事業主に対して支給される助成金です。

行った措置(定年延長や定年廃止)と対被保険者(1年以上継続して雇用される60歳以上の雇用保険被保険者)の人数で変わりますが、

15万円~160万円と非常に高額な助成金です。

要件を満たさないと申請できない

要件は

①雇用保険適用事業の事業主であること

②就業規則等に定年延長や定年の廃止を実施すること

③社労士等に制度改定を依頼し、経費を支払ったこと

④改定した就業規則を労基署に届け出ていること

⑤高年齢者の雇用の安定等に関する法律を守っていること

⑥対象被保険者が1人以上いること

⑦高年齢者雇用管理措置を実施していること

などです。

助成金を受給するためには様々な要件があり、それを守らねばなりません。

時流からも需要のある助成金

昨今の高年齢者を継続雇用する、シルバー人材雇用活用は時流から見ても当然の流れです。

現在でも65歳までの雇用の継続は企業の義務となっており、まだ対応できていない会社は指導の対象となっています。

労働人口の減少から考えると現在努力義務となっている70歳までの雇用が義務化されるのは時間の問題で、

助成金のあるうちに定年を延長、廃止して助成金を申請することが企業にとって有益ではないでしょうか。

2022年07月21日

育児休業と助成金

改正育児・介護休業法が2022年4月から段階的に施行

2022年4月から育児・介護休業法が施行されました。

概要は、

①男性の育児休業の取得促進

②育児休業を取得しやすいように個別の周知・意向確認の義務化

③育児休業の分割取得

④育児休業の取得の状況の公表の義務付け

⑤有期雇用労働者の育児・介護休業取得の要件の緩和

となります。

対応した助成金制度もある

改正育児・介護休業法に対応した助成金があります。

両立支援等助成金と言います。

コースがいくつかあり、

①男性の育児休業に対応した出生時両立支援コース

②介護による離職を防止する介護離職防止支援コース

③育児休業を取得した場合の育児休業等支援コース

など育児介護に関する助成金です。

社内制度を整えて助成金申請しませんか

助成金はコースによって違いますが、①の場合は男性労働者を5日間育児休業させると20万円以上の助成金がもらえるなど、お得な制度となっています。

時代の流れから言っても育児・介護の休業がとりづらい会社は労働者求職者から敬遠されますし、助成金があるうちに制度整備をして助成金を受給しつつ働きやすい会社を目指しましょう。

2022年07月14日

労働問題の顕在化

令和3年度の労働相談件数は124万件

厚生労働省から令和3年度の個別労働紛争解決制度の施行状況の発表がありました。

延べ内訳は法制度の問い合わせが83万件、労働基準法等の違反の疑いのあるものが17万件、民事上の個別労働紛争相談件数が28万件です。

民事上の個別労働紛争相談件数の内訳は

1位いじめ・いやがらせ・・・86034件

2位自己都合退職・・・40501件

3位解雇・・・33189件

となっています。

これは全国の総合労働相談コーナーに実際に相談にきた件数で、実際の問題はこれより多く存在すると推定できます。

実際、私のいた助成金担当部署でさえ月1回のペースで助成金の不正受給にからんだ労働相談が来ていました。

労働局への相談の前にシグナルは出ている

ただ、労働問題として外部の労働局に訴える前に必ず社内で問題となっているはずです。

社内で適切に対処される可能性がないとなった場合に初めて外部の機関に助けを求めるのです。

私が対応した相談者たちも、上司が見て見ぬふりをした、社長自身が率先して悪いことをしているなど社内では解決のめどがつかない場合に最後に相談に来た感じでした。

ですので労働問題が出た場合、まず社内で苦情や陳情が出ているはずです。

労働問題となってしまった場合は速やかに対処をすることを表明しましょう。

社内で労働紛争が顕在化する前に適切な対応をして未然に防ぐ

労働問題が顕在化すると、労働問題の対処、他の社員のモチベーションの低下、該当社員のコンプライアンス違反などたくさんの時間、労力やリスクが出てきます。

こうならないためにはできる限り事前に労働問題を起きないようにするシステムや企業風土を作っておく必要があります。

システムの面では就業規則などをはじめとした社内法の作成、企業風土としては社内の労働問題を対応する部署を設ける、社員にコンプライアンス教育をする必要があります。

2022年07月11日

求人を行う際の注意点

求職者が仕事を選べる現状

現在有効求人倍率ば約1.5となっており、

仕事を探している人の数>仕事の数

となっています。

仕事あまりの現状で自社が他社に先んじて求職者に選んでもらうにはどのようにすればいいのでしょうか?

最低限の基準を満たす必要がある

求職者が仕事を探すときに条件をつけることがあります。

いくつかあるのですが、主要なところでは

・業種

・職種

・雇用形態(正社員、パートなど)

・就業場所

・賃金

・休日

となっております。

どの業種にもいえることは、賃金が業界平均以上あること、年間休日が110日以上あることが求人を見てもらえる条件とのことです(ハローワーク職員談)

求人があふれている今、最低基準すら満たせていない場合は求人を見てもらうことすらできないとのことでした。

プラスアルファでやるべきこと

では実際に求人を見てもらえる条件であるときにそこから自社を選んでもらうにはどのように求人をだせばいいのでしょうか。

まず大事なことは求職者を具体的にイメージすることです。

年齢、男女、前職をやめた理由、保有資格・・・などです。

イメージしたらそれを求人に落とし込みます。

例)前職は子供が生まれて仕事との両立ができなくなって退職→時短業務も可能なことをアピールしよう!

となります。

次に求職者の気持ちになって求人票を書きます。

ほかの会社の求人を見てみてください。

求人条件以外の余分な文章を一切書かず、完結にすぎる求人がたくさん出てきます。

しかし、求職者として読むとどうでしょう。

仕事内容や同僚となる人たちのイメージがつかないのではないでしょうか。

入社直後の1日の流れなどを記入するだけでもだいぶ変わってくると思います。

最後に熱意です。

求職を出すのが人なら読むのも人です。

文章の行間にも感情の機微を読み取ることができます。

求人票を書き換えることはどの会社でもできます。

もし求人がうまくいっていないなら一度試してみてください。

2022年07月06日

助成金申請で必要な賃金台帳

最低限必要な記載事項

賃金台帳で最低限必要な記載事項は

①基本給

②雇用保険料

③社会保険料

④労働日数

⑤労働時間数

⑥時間外労働時間数

⑦深夜労働時間数

⑧休日労働時間数

などです。

⑥~⑧はない場合も0と記載するかブランクにします。

各種手当などがある場合も記載します。

残業代が未払いの場合は助成金が受給できません

就業規則や雇用契約書と照らし合わせて決められた労働時間以外の労働は時間外労働となります。

これをきちんと支払っていない場合は助成金が支給されません。

給与一覧表?

複数人の給料が各月について一覧になっている給与一覧表での提出では受け付けてもらえない可能性があります。

1名につき1枚の賃金台帳が望ましいです。

会社が作製、保存の義務があるのもこの賃金台帳です。

助成金申請の場合も助成金該当者のもののみを提出するのがよいです。

2022年07月01日

リモートワークでモチベーション低下?

今回は、大手転職エージェントのdodaが実施した調査を元に、

コロナ禍でのリモートワークにおける「不満・困難」を中心に取り上げます。

【出典】

オンライン仕事の実態調査|doda

半数以上が働き方に変化を実感。

同調査によると、2022年1~2月の働き方について、「コロナウイルスの感染拡大の前と現在で、働き方に変化を感じていますか?」の問いに対し、半数以上の53.9%の人が「はい」と回答。

さらにオンラインの働き方への変化に伴い、「仕事へのモチベーションが維持できない/やる気が出ない」(31.5%)と悩む人は少なくないようです。

そのほか「オンとオフの切り替えが難しい」(23.3%)、「閉塞感や孤独を感じる」(22.8%)、「上司や同僚、取引先と信頼関係を築きにくくなった」(18.4%)、「仕事の全体像がつかみづらくなった」(17.1%)、「仕事のパフォーマンスが落ちた/効率が下がった」(16.1%)の回答が挙がるなど、オンラインでの仕事や働き方は、業務の質から人間関係に至るまでさまざまな課題を浮き彫りにしました。

モチベーションが上がらない原因と対策

モチベーションが上がらない理由は、オンラインだと“学び”が生まれにくいのでモチベーションが高まりづらい。さらに、モチベーションが低いと同じようなミスを繰り返してしまうので、さらなるモチベーション低下につながるという悪循環が生まれるからとのこと。

その対策として「ほかの人の意見を積極的に聞きにいく」「仕事仲間とお互いにフィードバックし合う」ことがひつようであるとのことです。

 

2022年06月29日

助成金が通る出勤簿

客観的に労働時間が把握できるもの

平成31年より労働時間の客観的把握が義務となりました。

原則タイムカードやICカードなどによる出退勤を記録する必要があります。

ただし、現状エクセルなどでの記録や手書きでも助成金は通ります。

必要な事項は

①出社時刻

②退社時刻

③休憩時間

④残業時間

⑤深夜労働時間

⑥休日労働時間

となります。

長時間労働は助成金が受給できません

助成金の種類にもよりますが、長時間労働が常態化している場合で労働基準法に抵触している場合は助成金は通りません。

また、その場合は労使トラブルで会社都合の退職(解雇)が出ている場合があるのでその場合は助成金の申請もできません。

他には入社前研修です。

研修も仕事の一環ですので研修開始日が入社日です。

当然賃金も支払う必要があります。

2022年06月23日

助成金申請で必要なこと(労働条件通知書)

入社時に労働者に渡す書類である労働条件通知書ですが、助成金によっては審査時に提出する書類となります。

その際に見られる所、記入の必要な事柄を確認します。

①会社名・代表者名・会社住所

②従業員氏名

事業主、労働者は誰かというところですね。

③期間の定めの有無

契約期間です。

契約期間ありの場合はその期間の明記も必要です。また、更新の有無、基準も必要です。

④就業場所、従事する業務

現在の仕事と就業場所、業務が違う場合は変わったときに労働条件通知書を通知する必要があります。

⑤始業・終業の時刻、休憩時間

日々の仕事によって労働の時刻が異なるときはそのことを記述しましょう。

⑥所定労働時間を超える労働の有無

残業があるかです。残業がある場合は36協定にも注意しましょう。

⑦休日・休暇

日曜日など固定ならそのとおりに、固定でないなら週なん日などを記述します。

⑧基本給・各種手当

⑨賃金の締切日・支払日

⑩退職に関する事項

⑪昇給の有無

⑫賞与の有無と支払い時期

⑬退職金の有無

⑭労働条件通知書の作成日

以上がチェックされる項目となります。

企業が自己流で作っているものは不備がある場合が多いです。

労働者に知られたくないために事業主がわざと項目を外している場合もありますが、助成金が不支給となる場合があります。

労働条件通知書に明示されていない場合、労働争議になった場合に不利になりますので気を付けてください。

2022年06月16日

治療と仕事の両立支援助成金

抽選通れば申請しやすい助成金

本日から令和4年度の応募が始まる助成金です。

インターネットで研修を受けて申請できる助成金です。

名前の通り病気などの治療と仕事を両立させることを目的とした助成金です。

今回は環境整備コースを紹介します。

治療と仕事の両立支援助成金の流れ

まず労働者に両立支援コーディネーター養成研修に応募します。

抽選となり、当選した場合はインターネットでの研修となります。

この間に就業規則を改定し両立支援についての規定を入れましょう。

研修を修了したら助成金の申請です。

1企業につき1回のみの申請で200,000円の支給となります。

就業規則の整備、労務管理をしっかりやることが重要

就業規則や労務管理に問題があると不支給となります。

残業代の支払いはもちろん、定年、継続雇用制度が適正かも審査の対象となります。

2022年06月09日

経営労務診断制度

会社の労務管理を診断する制度

社会保険労務士が診断する制度で、会社の労務管理が適切に行われているかを診断します。

この制度を実施すると会社の労務管理の現状が適切かどうかと、改善点がある場合はその部分をどのようにすればいいかを社労士が示してくれます。

制度は①職場環境改善の宣言をする、②経営労務診断を実施する、③経営労務診断ですべての項目を「適切」とするの3段階に分かれており、会社の診断結果に応じて全国社会保険労務士会からマークの付与と企業情報サイトに企業が掲載されます。

経営労務診断の流れ

まずは職場環境改善宣言をします。

事前の簡易確認シートを使い会社の労務管理の現状を簡易的に確認します。

次に社労士と経営労務診断をします。

実際に就業規則や賃金台帳や出勤簿などを確認し、各項目ごとに適切かどうかを確認します。

すべて適切となれば「経営労務診断適合企業」となります。

1つでも適切でなければ「経営労務診断実施企業」となりますが、その際どこを直すべきかというアドバイスを社労士がおこなってくれます。

毎年実施し、法改正にも対応するのが理想的

経営労務診断は毎年実施するのが理想的です。

労働基準法などの労務関係の法律や制度は毎年改正があり、例えば2022年4月から中小企業もパワハラ防止措置が義務づけられるなどしているからです。

労務管理を真剣に取り組むきっかけとして経営労務診断を検討してみてはいかがでしょうか。

 

相談のフロー

 

2022年06月06日

パワハラ対策の現状

パワハラ対策の現状と対応

エン・ジャパンの調査をもとにパワハラ対策の現状をご紹介します。

今年の4月より中小企業でもパワハラ対策が義務化されました。

ぜひ貴社のご対応もご検討ください。

【出典】

「パワハラ対策」実態調査2022|エン・ジャパン

パワハラ防止法の認知度は84%と前回より増えている

パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)について84%が「知っている」(内容も含めて知っている:34%、概要だけ知っている:50%)と回答した。

前回の2020年の調査時は77%が「知っている」と回答しているので認知は増えてきているのが現状です。

パワハラ対策は66%実施内容の第1位「相談窓口の設置」

パワハラ対策のは66%が何らかの対応を実施しているとのこと。

企業規模が大きくなるほど対応率は高くなっているようです。

具体的な実施内容は第1位は「相談窓口の設置」80%)、次いで「就業規則に罰則規定を設ける」(56%)、「パワハラの対策方針の明確化」(45%)となっています。

2022年06月03日

雇用調整助成金の延長

雇用調整助成金の9月までの延長が決定しました

雇用調整助成金の新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例の延長が決定しました。

制度としては6月までと同様で、原則的には休業した分の賃金の90%で上限が1人あたり9,000円/1日です。

9月30日分の給料までが対象です。

給料の〆が月の末日でない場合同様です。

 

2022年06月01日

スタートアップ支援事業補助金(大垣市)

各市町村独自での補助金

国の補助金以外にも各市町村でも補助金事業をやっている場合があります。

「人」に対する厚生労働省の助成金とは違い、やる「こと」に対する補助金です。

国の補助金事業よりも要件が厳格でないことが多いので役所や商工会議所などに確認してみてもよいでしょう。

今回は岐阜県大垣市の補助金の一つであるスタートアップ支援事業補助金を紹介します。

要件は国の補助金よりも厳格ではない

新規創業や新しい分野への挑戦に対する補助金です。

大垣市内に事業所を有する者。

市税等の滞納がないこと。

などの要件があります。

一番大事なのは個人事業主は開業届の提出前、法人においては設立登記の申請前に交付申請を行う必要があります。

補助金の流れ

①事業主が大垣市に補助金の対象になるか相談

②商工会議所に補助金の相談

③交付申請

④大垣市からの交付決定

⑤事業を実施し結果を報告する

⑥大垣市の審査、交付確定

⑦金額の請求をし、補助金が支払われる

以上の流れになります。

補助金の交付決定前に物品の購入などをしていた場合は補助金は申請できませんし、審査にも時間がかかるので早く事業活動をしたい方には向かないかもしれません。

しかし、1回最高50万円と創業期には大変ありがたい金額の補助となります。

すべてを補助金でまかなうのではなく時間をかけてもいいものを補助金で行うなど計画的に使えると便利な制度となるでしょう。

2022年05月31日

高年齢者雇用状況等報告書

毎年6月1日現在の労働者の雇用状況について回答しなければならない

高年齢者雇用状況等報告書は厚生労働省の調査書類で毎年6月1日現在の会社の雇用状況などを調べています。

会社の規模によっては障害者雇用状況報告書も同時に調査書類が郵送されます。

私が担当だった時はなぜか5月中に提出にくる会社がありましたが6月1日の状況を提出ですので6月1日以降の提出をお願いします。

会社での高年齢者の雇用のための状況がどうなっているかを調べる

会社の就業規則では何歳まで雇用することになっているのか、定年後の継続雇用制度は何歳まで雇用するのかなどの事柄を確認します。

定年が60歳未満ですと労働基準法違反です。

また、希望者全員の65歳までの雇用についての制度がない場合は高年齢者雇用安定法違反となります。

この場合是正に向けて労働局が対応してきますのでその前に対策をしておきましょう。

場合によっては労働局から確認の連絡がいくことも

ほかにも6月1日現在の労働者の人数や年齢の確認などもします。

雇用保険の未加入など必要な手続きがしていない場合は調査の数字と合わなくなり労働局からの確認があります。

正直、雇用保険を管理しているのはハローワークですので雇用保険の加入人数やそれぞれの年齢はハローワークでできます。

それでも会社に自身で調べて提出させるのは自社の労務管理がちゃんとできているかも確認したいのでしょう。

ところでこの調査書類ですが提出しない場合はどうなるのでしょう。

答えは提出しない会社はありません。

提出の遅い会社には督促をしつづけ、最後は訪問までして書類を提出してもらいます。

 

2022年05月26日

助成金の審査

助成金を申請するにあたって

助成金を申請する場合、会社が法律を守っている必要があります。

労働保険、社会保険にきちんと入っていること、労働基準法その他の法律を守っていることなどです。

法律に違反している場合、助成金は受給できません。

場合によっては労働局の立ち入り検査があることも

上記の法律を守っていない場合は助成金が受給できないどころか労働局の立ち入り検査となる場合があります。

会社の実情を調査し、助成金の可否を判断することとなります。

助成金のために改ざんをし、それが悪質な場合は助成金が一定期間申請できなくなったり社名の公表などの不利益となります。

申請書類の時点で問題がないようにしなければならない

やはり実際に立ち入り検査にピックアップされる会社は申請書類に不明点がある、法律を守っていない疑いがあるなどの場合が多いです。

私自身も労働局に勤務している時には企業に調査に訪問しましたが、助成金のために書類を改ざんしたようなケースも見られました。

助成金のために書類を整える必要はありますが、そのために虚偽の申請をすると毎日申請書を見ている労働局には見破られてしまいます。

正しい労務管理をして胸を張って助成金を申請しましょう。

2022年05月24日

助成金の併給

助成金には目的と要件がある

助成金は約80種類もあり、それぞれに要件があります。

助成金によっては同じ対象者に複数の助成金が該当することがありますが、助成金の目的によっては併給できるものとできないものがあります。

助成金によっては複数の助成金が申請できる

例えば、雇用調整助成金とキャリアアップ助成金(正社員化コース)は併給できます。

有期雇用労働者を休業させたために雇用調整助成金を受給し、その労働者を正社員化しキャリアアップ助成金の申請をした、といった感じです。

この場合雇用の維持と労働者の雇用の安定と助成金の目的が違うために両方の助成金が併給できます。

 

中には支給金額がかわるものも

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)とキャリアアップ助成金(正社員化コース)も併給ができますが助成金の金額が変わる場合があります。

特定求職者雇用開発助成金を受給した後にその対象者を有期雇用労働者から正社員化した場合、キャリアアップ助成金の金額が半額になってしまうのです。

特定求職者雇用開発助成金は長期雇用を前提としているので有期雇用労働者として雇用してもキャリアアップ助成金としては無期雇用から正社員へ転換したとみなします。

助成金の申請前に確認してください

助成金はたくさんの種類があり、毎年新設、変更、廃止があります。

複数の助成金を取り組む場合は併給が可能か先に労働局等に確認するとよいでしょう。

2022年05月20日

特定求職者雇用開発助成金を取りこぼさないために

特定求職者雇用開発助成金の概要

特定求職者雇用開発助成金(特開金)とは安定した就職ができづらいとされる求職者をハローワークや職業紹介事業者経由で雇用することによって申請できる助成金です。

60歳以上、障害のある方、母子家庭父子家庭の親、氷河期世代などが対象者です。

基本的に条件を満たせば各都道府県の労働局の助成金担当部署から助成金に該当する案内や助成金申請書が郵送されてくるので気が付いたら助成金に該当していたということが多いかもしれません。

オープンでなければならない

この助成金は、対象者が求職活動をする際に、ハローワークに対象者であることを企業に伝えることを了承して(労働局ではオープンと言います)就職活動をしなければなりません。

意味合いとしては障害があるけどそれを理解して採用した場合が特開金対象となるのです。

その場合ハローワークからの紹介状に赤字で「特定求職者雇用開発助成金の可能性があります」といったハンコが押されています。

求職相談でハローワークに障害があることを会社に知られたくないとした場合(クローズド)は助成金の対象とはなりません。

この場合は上記ハンコはなく普通の紹介となり特開金の対象とはなりません。

精神障害の方や父子家庭の方などはクローズドの人もいるように感じました(私見です)

オープンでなくとも面接時の状況などで助成金の対象になることも

オープンにしないとした場合は特開金対象とはならないと書きましたが面接時にオープンにした場合は特開金の対象となります。

ですが、そのことをハローワークに伝えないと特開金の申請書は届きません。

採用時にはハローワークに採否の連絡をしますがその際に障害者であることを伝えられたがそれでも採用することにした、と伝えましょう。

特開金が受給できるかもしれません。

 

2022年05月13日

キャリアアップ助成金の取り組み日とは?

制度変更でキャリアアップ助成金が対象外?

キャリアアップ助成金(正社員化コース)の制度が変わったが、今年度の最新の制度では助成金の対象外になりそうだという相談をされました。

具体的な話を聞くと、正社員化したのは令和3年の10月1日でした。それから6か月後の申請の段階で令和4年の制度改正に対応していないので助成金が受給できないと相談に来られたのです。

でもキャリアアップ助成金のような労働者の雇用から受給まで合計1年以上かかる助成金で最新の制度を見通して対応しなければならないのでしょうか?

いつの時点の制度が適用になるの?

各コースは取組を行った日に現行である制度が対象となります。上記の案件では令和3年度の制度が対象となるので、令和4年度の制度に対応していなくても助成金は受けられるということです。

ここで各コースの取組を行った日とされる日が具体的にどの時点となるかを確認しましょう。

・正社員化コース、障害者正社員化コース:正規雇用労働者への転換または直接雇用日

・賃金規定等改定コース:賃金規定等を改定した日(※)

・賃金規定等共通化コース:賃金規定等を共通化した日(※)

・賞与・退職金制度導入コース:賞与若しくは退職金制度又は両制度を就業規則等に規定した日

・選択的適用拡大導入時処遇改善コース:社会保険の適用拡大措置の実施日(実施日以降に、基本給の増額加算の適用を受ける場合は、基本給を増                   額した日)

・短時間労働者労働時間延長コース:週所定労働時間延長実施日

(※)賃金規定等を「改定した日」「共通化した日」とは、賃金増額改定や共通化した賃金規定の施行日ではなく、適用日をさします。例えば、4月1日から賃金規定を増額改定し、増額後の賃金が当日分から給与に反映されるとすれば、適用日は4月1日となります。

4月1日の取組は避けるべき

企業にとって4月1日は決算後であったり新卒採用と同じタイミングであったりと企業の制度変更に都合のいい時期ではありますが、助成金の制度も4月1日~3月31日の年度で改正があるので4月1日に助成金の取組をすると制度が変更、廃止となっている場合があります。

せっかく助成金の準備をしてきても制度変更で助成金が受けられない可能性があるため、4月1日の取組は避けたほうがいいです。

2022年05月10日

緊急雇用安定助成金の変更点

令和4年4月以降の給料の支払い期間の書類には変更点が多くあります。

制度が長く続き助成金の内容を精査したこと、不正が疑われる案件が多いこと、以前より支給に緊急性が薄まったことなどの理由が考えられます。

まず業況特例の変更点です。

業況特例とは今年の直近3か月の会社の売り上げが前年、前々年、3年前より30%以上低下していると助成金が100%支給となる特例です。

ちなみに特例でない場合は現状90%支給です。

この業況特例の確認作業が毎月必要となりました。令和4月分の給料の助成金申請であれば令和2、3、4月の3か月分と前年同月比の売り上げがわかる書類の提出が必要となります。

次に、労働者が存在することの確認のために運転免許証などの本人確認ができる書類が必要となりました。ない場合は住民票やパスポートなどでも代用が可能です。

最後に休業手当の支払いを確認できる書類が必要となりました。給与所得の所得税徴収高計算書の領収日付のある書類と、銀行の給与振込依頼書など給与振込の確認できる書類です。給料を手渡ししているなど、給与振込依頼書がない場合は労働者直筆の記名のある領収書が必要となります。

以上のように制度ができた当初では考えられないほど多くの書類を求められています。

これも以前の制度では悪用すれば助成金をもらい放題であったこと、特定の企業が助成金を大量に申請している現状をみると仕方ないことかもしれません。

2022年05月09日

コラム始めました

普段の仕事のこと、以前働いていたハローワークでのできごとなどで気づいたことを書いていこうと思います。

助成金の小ネタなんかも書いていけたらと思います。

2022年04月06日