2つの会社に雇われたときの社会保険

複数の会社で働く場合、健康保険と厚生年金保険の適用や保険料の取り扱いについて理解しておくことは非常に重要です。ここでは、2社で同時に働く場合の社会保険の適用方法と、保険料の按分(配分)について詳しく説明します。

社会保険(健康保険と厚生年金保険)の基本

健康保険: 医療費の負担を軽減するための保険で、診察や治療、薬代などが給付されたり、出産や病気、ケガで働けなくなった場合に給料の一部を補填します。

厚生年金保険: 老後の生活資金、障害で働けなくなった場合、死亡した場合の遺族の生活費を確保するための保険で、現役時代の収入に応じて年金額が決まります。

社会保険は、会社に雇用されている社員・役員に適用され、保険料は労働者と会社で折半します。

主たる勤務先と副業先の取り扱い

複数の会社で働いている場合、主たる勤務先(給与が多い、勤務時間が長い会社など)で社会保険に加入します。この会社の名前で社会保険の加入手続きを行い、健康保険証が発行され、保険料を給与から差し引きます。

副業先の勤務が一定の条件を満たす(例えば、勤務時間が週30時間以上、または給与が一定額を超える)場合には、副業先でも社会保険への加入が必要になることがあります。

この場合、主たる勤務先での社会保険の取り扱いとは別に、副業先でも社会保険の加入手続きが行われます。

しかし、健康保険証が2枚になることはありません。

主たる勤務先の1枚のみですのでご承知おきください。

副業先でも社会保険加入が必要な場合には、「健康保険・厚生年金 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を年金事務所に提出します。この届出により、2社以上での社会保険加入が認識され、適切な社会保険の取り扱いが行われます。

保険料の按分

複数の会社で社会保険に加入した場合、保険料を按分(あんぶん)します。

それぞれの事業所で受ける報酬月額を合算した月額により標準報酬月額が決定されます。

この標準報酬月額に厚生年金保険料率、選択した事業所の健康保険料率をかけた保険料額を、それぞれの事業所で受ける報酬月額に基づき按分して決定されます。

まとめ

2社で同時に働く場合、健康保険と厚生年金保険の適用は主たる勤務先が基本となりますが、副業先でも一定の条件を満たす場合には、その会社でも社会保険に加入する必要があります。

保険料の按分については、主たる勤務先と副業先でそれぞれの給与に基づいて保険料が按分され、調整が行われることになります。

1社目で加入しているからと届出を怠ると、社会保険の調査の時に発覚、遡って多額の保険料の徴収となりかねません。

必要な届出をして、正しく社会保険に加入しましょう。

2024年09月10日