労働者が悪くても解雇できない?
労働者のミスが多い、セクハラなど周囲に実害がある場合でも解雇が認められない場合があります。
今回は裁判の判決を通して解雇の現実と対応方法を見ていきましょう。
事件の概要
平成30年8月に、労働者が36件の業務ミスと7件の非違行為(セクハラ)を理由に解雇されました。
解雇された労働者は解雇無効を主張し、地位確認及び賃金支払いを求め、裁判をしました。
裁判所は勤務成績や業務遂行能力が不良であったことは否定できないとしながらも、
解雇は無効とし、地位確認及び賃金支払いを認めました。
現在控訴中ですのでまだ裁判の途中です。
判決の要旨
36件中27件は労働者のミスであると認められましたが、いずれも解雇から半年以上前であったり、
細かなミスで修正が指示され対応していたことから改善の意欲や可能性がないとまでは言えないとし、
解雇に相当する程度までは言えないとした。
また7件のセクハラのうち1件のみ性的な言動があったと認められたものの、身体的接触でも直接的に性的な発言でもなかったことから、
その程度は重大とまでは評価できないとした。
以上より、解雇は無効として、社員の地位の確認及び賃金の支払いを認めました。
判決からわかること
30件以上のミスの証拠、セクハラの証拠を用意しても解雇できないという判決でした。
まだ確定していませんので判決が変わ可能性はありますが、会社の解雇は非常に厳しい条件であることがわかります。
改善の意欲がないことの証明などという内心のことなどどのようにするのでしょう。
企業としては問題社員になりそうな者は入社試験の際にできるだけ排除する、人事評価制度をしっかりと作り
賃金や評価を客観的にわかるようにするなどの労務管理の基本を実践する他なさそうです。