労基署の臨検(立ち入り調査)
予告なく事業場に立ち入りが可能
労働基準監督署は予告なく事業場に立ち入ることができます。
昼夜問わずいつでも、自由に立ち入りできます。
また、調査のために事業場の帳簿書類を確認したり、事業主、従業員などに尋問したりすることができます。
調査について立ち入りを拒んだり、妨げたりした場合は労基法により処罰の対象となります。
通常の刑事事件と違い黙秘も許されず、労基法120条には
「労働基準監督官の臨検を拒み、妨げ、若しくは忌避し、その尋問に対して陳述せず、若しくは虚偽の陳述をし、帳簿書類の提出をせず、又は虚偽の記載をした帳簿書類を提出した者」
には30万円以下の罰金に処するとなっています。
労基署の指導
臨検後、法違反がある場合は指導となります。
是正勧告が行われ、いつまでに法違反状況を直すのかという計画を書類で提出させられます。
賃金未払いの場合などは過去○か月分遡って支払いとされるなど、金銭負担もかかります。
ただ、企業の事情もある程度汲んでくれます。
是正に向け努力するが、期限などの問題がありどうしてもできないなどの場合は多少期限を緩くしてくれるなどの対応をしてくれます。
しかし、虚偽の報告や捜査の妨害をするなど悪質なケースは逮捕される場合もありますので臨検に来た場合はおとなしく応じ、指導には真摯に向き合いましょう。
臨検の事例
実際にあった臨検の事例です。
労働者(外国人技能実習生)のタレコミから臨検を実施したケースです。
基本給は6万円で、当然最低賃金を割っています。
時間外手当も1時間300円と違反しています。
証拠隠滅も図っており、出勤簿や賃金台帳の改ざん、賃金を直接手渡しし、銀行通帳に金額が乗らないようにしていました。
労基署は早朝内偵をし、労働時間が出勤簿と違うことを確認、また賃金支払日に臨検を実施、給料袋の中身の金額と賃金台帳の金額が違うことを指摘し、司法処分となりました。
実際、タレコミでの臨検をする場合には冗談ではすまされないため、労基署は証拠の場所を抑え、後はその証拠を確認しに行くだけの状態です。
証拠隠滅などの妨害をしても心証が悪くなり処分が重くなるだけですので早めに諦め、是正に応じた方がよさそうです。
