最低賃金引上げ速報と助成金
毎年10月にある最低賃金引上げの速報
7月29日に今年の10月に実施される最低賃金引上げについての速報が発表されました。
政府がことし中に全国平均で時給1000円を達成することに言及していて、現在は961円となっています。
今年度の引き上げについて、労使の代表などが参加する審議会は28日、全国平均で時給にして41円引き上げるとする目安をとりまとめ、厚生労働省に答申しました。
引き上げ額はこれまでで最も大きく、全国平均で時給1002円となり、初めて1000円を超えました。
各県の状況をふまえて地域別にランクがつけられており、
愛知、東京などのAランクは41円
岐阜、三重、滋賀などのBランクは40円
青森、鳥取などのCランクは39円
となりました。
賃金引上げ時の注意点
賃金引上げ時の注意点としては、まず先輩社員との整合性が上げられます。
先輩社員が時給1000円だとして、最低賃金が時給1000円だった場合、ベテラン社員と新人が同じ時給になってしまうおそれがあります。
この場合、先輩社員に不満が出てきてしまいますので最低賃金引上げと同時に先輩社員の賃金も見直す必要が出てきます。
次に、厚生年金の扶養による壁の問題があります。
現状、年間130万円を超える場合は厚生年金の扶養からはずれますが、時給が上がるために以前より短い労働時間でも扶養からはずれる可能性がでてきます。
扶養からはずれたくないために、労働者側から労働時間の短縮の申出があり、人員の確保が難しくなるおそれがでてきます。
また、人材募集についても難しくなります。
現在岐阜県で時給950円で募集すると、最低時給の910円より高いため、求職者には最低時給の募集より魅力的な募集となります。
しかし、この度の最低賃金引上げで950円となるために最低賃金と同額となり、時給の魅力がなくなってしまいます。
この人材不足の時期に求人に魅力がないと判断された場合、人材確保が難しくなってきます。
また、他社の求人が現在の労働者さんの待遇より魅力的である場合、他社に移ってしまう可能性があります。
最低賃金の引上げは最低賃金の会社だけでなく、その他の会社にも影響がでてくるのです。
最低賃金の引上げに対応した助成金
さて、最低賃金の引上げにぴったりな助成金があることをご存じでしょうか。
それは業務改善助成金です。
職場内の最低賃金を引上げ、設備導入などにより職場内の労働効率を上げた場合に設備導入費用を助成してくれるものです。
職場内最低賃金の引上げ額や引上げ人数にもよりますが、設備導入金額の75%~90%で上限が30万円~600万円ほどの金額となります。
現在の地域別最低賃金から30円以内の労働者が対象となります。
岐阜なら910円~940円の労働者が対象です。

岐阜県の会社で労働者1人で時給910円の場合では
時給を940円とし、生産性向上のための設備を導入した場合、図のコース区分30円以上、事業所規模30人未満の事業者に該当するため、設備購入金額の90%、上限60万円が助成されます。
高価な設備を助成金で安く購入するチャンスです。
最低賃金の引上げに向けて今から動きましょう。