再雇用の基本給と今後の賃金のあり方
定年後の再雇用時の賃金と同一労働同一賃金
定年後に契約社員や嘱託社員という名目で現在の会社に再雇用される高年齢者は多くいます。
役職などがなくなり、給料や手当なども少なくなる一方で、実態としては定年前と同じ業務量や責任であるということも多いでしょう。
給料が定年前から減少した場合、雇用保険から高年齢者雇用継続給付が支給され、賃金減少分が補填されるなど定年後の賃金減少を許容しているとみられる国の制度もあります。
しかし、今後の賃金制度の根幹を揺るがすような事件が最高裁まで行きましたのでご紹介します。
名古屋自動車学校事件
正社員として定年を迎えた後に嘱託社員として再雇用された労働者が、基本給などを大幅に削減されたのは不当な待遇格差だとして事業主を訴訟した事件です。
地裁、高裁と賃金の減額の一部を違法とした判決となっていたため大変注目された事件です。
7月20日に最高裁で名古屋高裁に審理差し戻しとなりました。
過去に別の事件では、賞与や各種手当の有無などで正社員との格差について争われたことがあります。
その時の最高裁は賃金や賞与の支給の性質や目的が同一労働同一賃金に反していないかを主眼としていました。
今回の事件は賃金のベースとなる基本給も同一労働同一賃金の考え方を取り入れる必要があると判断しました。
今後の賃金制度のあり方
今回の事件を受けて、企業は賃金を65歳(定年や雇用継続の上限)までの雇用義務終了までの賃金カーブを考え直す必要が出てきました。
65歳まで賃金を引き下げることなく支払うつもりで賃金を決定しなければなりません。
また、手当を駆使して賃金の調整を図る必要があります。
今後も雇用義務年齢は上がりこそすれ、下がることはありません。
会社と従業員が納得できる賃金制度を作りましょう。