賃上げを取り巻く状況
今年の春闘の結果の集計が経団連から発表されています。
資料出所|経団連「2023年春季労使交渉・中小企業業種別回答状況」
今回は賃上げの状況とその背景や今後の見通しを見ていきましょう。

中小企業の資料ですが、どの業種でも昨年と比べて賃金の上げ幅が上昇しています。
平均の月額賃金は7,864円の2.94%の上昇となっています。
昨年が5,219円の1.97%の上昇ですのでいかに今年の賃上げ率が高かったかがわかります。
賃上げの要因
今年の賃上げの要因としては
①物価高
②最低賃金引上げの対応
③採用難に伴う賃金の上昇
が挙げられます。
①はウクライナ侵攻や円安の影響によるものです。
実際に物価手当など物価変動に対する名目で支給している企業もあります。
②は最低賃金が引き上げられたことにより、最低賃金で働いている人だけでなく、その先輩社員なども賃金引上げがないと不公平感が出てくるため従業員全体での賃金のベースアップとなるためです。
③は労働者数の減少による採用難に対応するため新入社員を含めた採用時の賃金を上昇させたためです。
有名なところではユニクロの㈱ファーストリテイリングが初任給30万円となって話題になりました。
今後の賃金上昇の見通し
今後の見通しですが、まず最低賃金の上昇が考えられます。
現在、日本の平均賃金(全国加重平均)は961円となっています。
総理大臣も時給1000円と言っていた通り、最低賃金の引上げの流れはほとんど確定しています。
また、労働力人口減からくる人材難も当面続くため、人材確保のために賃金の引上げはせざるを得ないと感じます。
当然、今いる従業員を流出させないためにも新たな採用を考えていない企業も賃上げの対応をしなければならなくなってくるでしょう。