パワハラ社員に対する会社が取りうる対策

パワーハラスメントの定義とは?

パワハラパラハラとよく言葉が飛び交うようになっていますね。

少しでも社員の機嫌を損ねようものならパワハラと言われ通常の仕事の指導もしにくくなったと悩んでいる企業の話もよく聞きます。

しかし当然ですがすべての指導がパワハラとなるわけではありません。

厚生労働省の定義では以下のようになっています。

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。

とのことです。

わかりやすいように類型化すると

①身体的攻撃

②精神的な攻撃

③人間関係の引き離し

④過大要求

⑤個の侵害(監視・盗撮)

などが該当します。

実際にあった事例

(ケース1)

配属1か月で上司に「なんであんなのが来た」と言われ、社員旅行時には同一上司に刃物を見せられ「今日こそ刺してやる」と言われた。

被害者は結果として自殺した。

→裁判では上司によるパワハラが原因とされ、約1100万円の損害賠償となった。

(ケース2)

勤続33年の社員がリストラに反対。

その結果、かつて同僚であった社員の部下に降格。

さらに通常は契約社員が担当する業務に配置転換。

→パワハラと配置転換裁量権逸脱とされ、慰謝料100万円となった。

企業の取るべき対策

パワーハラスメントをする社員がいたとして、その社員の個人の責任に終わるものではなく、企業も放置した責任を問われます。

法律でもこの令和4年4月から「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」というものが施行されて、企業が必要な措置を講じることを義務としています。

企業の監督責任を問われないためにも日頃からきちんと対策を取りましょう。

①社長からのメッセージ

②就業規則などにルール化

③相談体制の整備(専門部署の設置、社外相談窓口など)

④従業員への定期アンケートの実施(実態把握)

⑤パワハラ研修

などです。

以上のことを行い、それを記録化しておきましょう。

労働関連の法令などから残念ながら企業は労働者との裁判となった場合、非常に立場が弱いです。

日頃から予防すること、その予防を記録などをして客観的に確認できるようにすることが企業を守るための方策です。

2022年12月22日