�ストレスチェック制度とは?
労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」とは、労働者の心理的負担(ストレス)の状態を定期的に調べるための制度です。
これは主に以下の目的があります:
・労働者のメンタルヘルス不調の予防
・精神障害の発症を未然に防ぐ
・職場環境の改善につなげる
ストレスチェックは、労働者本人が心理的負担について質問票に回答し、その結果に基づいてストレス状態を判定します。
高ストレスと判定された人には、面接指導(医師等との面談)が勧められます。
さらに企業はこの結果を「集団分析」して職場ごとの傾向を把握し、改善策の検討を行う必要があります。
2025年の改正ポイント(50人未満の企業)
1. 50人未満の事業場にも義務化される
これまでストレスチェックの実施は、従業員50人以上の事業場が義務で、 50人未満の事業場は「努力義務」でしたが、 2025年5月に成立した労働安全衛生法の改正により、50人未満の事業場でも義務化の対象とされました。
改正法の成立は2025年5月ですが、施行時期は「公布日から3年以内に政令で定める日」とされています。
遅くとも2028年頃(2028年4〜5月ごろ)に施行される見込みとされています。
つまり、2025年中に施行されるわけではなく、これから段階的に準備を進める必要があります。
なぜ改正されたのか?
近年、メンタルヘルス不調による労災申請が増加しており、 仕事に関連したストレスが精神障害の原因になるケースが増えていること。
小規模事業場でも、従業員の心身の健康を守る必要があるとの認識が広がり改正となりました。
これまで努力義務だった企業でも、積極的にストレスチェックを導入しているところもありますが、法的義務になることで制度浸透が進む見込みです。
企業が対応すべきこと(実務的ポイント)
義務化に向けて、小規模企業(50人未満)が準備しておくべき対策の例です。
①実施体制の整備 ストレスチェックをどう実施するか(社内で実施するか、外部業者に委託するか)の検討
医師や保健師など専門家との連携先の確保
実施スケジュールや担当者の決定
※50人未満だと社内で個人情報を扱うのが難しいため、外部サービスの利用が増える傾向があります。
②就業規則・社内ルールの見直し 義務化に伴い、社内ルールにも反映すべきポイントが出てきます
ストレスチェックの実施や受検義務についての規定、個人情報の取り扱い方針、高ストレス者への対応方法(面接指導の進め方、負担軽減策)
就業規則に明文化することで、メンタルヘルス対策が社内共通のルールとして機能しやすくなります。
③職場環境の改善計画の策定
ストレスチェックは単に「やればOK」というものではなく、 結果を分析して改善につなげることが重要です。
部署ごとのストレス傾向を把握 相談窓口やフォロー体制の整備 改善計画の策定および実行 これにより、休職・離職の予防や生産性の向上にもつながります。
まとめ
2025年の労働安全衛生法改正により、これまで努力義務だった従業員50人未満の事業場でも、ストレスチェックが将来的に義務化される見通しとなりました。
施行は公布から3年以内とされており、2028年頃までに施行される見込みです。
今回の改正は、メンタルヘルス不調による休職・離職の増加を受け、企業規模を問わず従業員の心の健康管理が必要と判断されたためです。
ストレスチェックは個人の不調を早期に発見するだけでなく、結果を集団分析して職場環境の改善につなげる仕組みでもあります。
小規模事業場では、人手不足の中でのメンタル不調の発生は大きな影響につながるため、今回の制度改正は「負担増」ではなく、職場の安定や定着率向上につながる重要な対策ともいえます。
施行までに準備期間があるため、今から体制整備を進めておくことが安心につながるといえるでしょう。